会計税務情報2000年5月号
永野森田公認会計士事務所
TAX SAVING OPPORTUNITIES
Death is something you cannot avoid. People say tax is the same. We do not agree with this statement, because we know that tax is manageable. Yet, no tax professional can relieve you of all of the taxes you may owe. They can only tell you when and where you can save your tax and, if you desire, how, too.
Tax saving case 9 Think again about “Gross-Up Pay”
日 本からの進出企業にお勤めの社員、即ち、駐在員の方々の給与計算方法として、ネット保証(Gross-up)という考えがあります。海外勤務は会社の都合 であり、勤務国のそれぞれで異なる複雑な税金の事まで駐在員に負担をかけるのは不都合だという考えです。その理由については、賛否両論があり、通常の給与 計算方式(グロス支給)との比較において、どちらをとるかは、正に経営判断の問題でしょう。然し、殆どの会社が経営効率化を真剣に考え、人減らしも珍しく ない昨今、もはや、ネット保証の考えは、見直しを迫られてしかるべき制度の一つと考えるべきではないでしょうか。この制度下では、節税の観念が欠落する可 能性が大きいからです。
解説(節税観念の欠落理由)
事例
A社の独身社員Sの給与はネット保証で、$2,000である。Sは派遣元の日本の親会社から、国内で月$1,000相当の手当てをもらっている。日本では、ホームローンで買ったマンションがある。ローンは15年間分割で返済している。
1. Sはホームローン返済金の利息部分は、アメリカの税法上控除適格である事を知っていたが、証明書類取り寄せが面倒なのと、控除をとって、税金が少なくなっ ても、自分には影響がないので、ついつい、日本での支払い利息の申告を省略してしまった。会社側も、個人の事情にまでは立ち入りたくないと考えた。
2. A社では、手取りから税金を含んだ額(グロス)の計算方法が分からない為、およその見当でグロスを決めた。しかも、確定申告時点で追加支払いにならないようにする為、多目にグロスを設定した。
以 上の事例中、1.については、利息控除による、節税の機会を放棄してしまっていることには、すぐに気がつかれることでしょう。2.についても、グロスを大 きくとれば当然税金(社会保険も含め)も大きくなりますから、そこに落とし穴があることに気が付く筈です。勿論、グロスを大きくすることにより、還付も期 待できますが、それは、余分な税金と余分な社会保険を払った後の還付金なのだという認識が必要なのです。
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更新日: 2000年05月01日