会計税務情報2000年9月号
永野森田公認会計士事務所
TAX SAVING OPPORTUNITIES
お金をかけない会社の作り方
アメリカの会社-日本支店の勧め
日 本の大手企業の中には、明かにアメリカで成功したビジネスの日本版的なものが数多く含まれています。古くは、ス-パ-のダイエ-、ファ-ストフ-ドのマク ドナルド、警備保障のセコムがあり、最近では、リ-スのオリックス、カードのJCB、インターネットのソフトバンク等々が実力をつけてきています。いずれ も、アメリカで実験済みのビジネスですから、リスクも少なく、成功はある程度保証されていたと言って良いでしょう。こうした大規模ビジネス以外にも随所 で、アメリカンビジネスが活躍しているのを目撃します。長野県には、ナパバレ-そのままのワインセラ-があります。USCPA受験生が急増しているかと思 えば、一方でアメリカのロ-スク-ル制度の日本導入が真剣に検討されていると聞きます。
こうした、ノーハウの借用に止まらず、アメリカの制度そのものを利用したビジネスもあります。今回は、その中で今最も注目されている、アメリカ法人活用法を御紹介いたします。
日 本の株式会社には最低資本金10,000,000円という、重い条件がついています。アメリカでは株式会社は各州の会社法に則って設立されますが、共通し て言えることは手続きが簡単で、資本金に制限が無く、しかも、手数料も安いということです。中でも、アメリカ50州中最も手続きが簡単なデラウエアー州に 会社登録をして、その支店を日本に開設する方法が好評を得ています。
1. デラウエア-州株式会社
大 した産業もなく、アメリカで2番目に小さなこの州は、会社誘致を目的として、古くから会社法の整備に心がけてきました。その簡便さ故、州内では営業をしな い会社もデラウエア-会社法によって設立されることが非常に多くなりました。設立費用は、基本的に授権発行株数によって計算されます。例えば、1,500 株であれば、一株当り10セントですので、僅か$15.00です。その他、雑費込みで$100以内で会社が設立可能なのです。(設立代行手数料は別です)
2. 日本支店の設立
これを受けて、日本支店を作りましょう。アメリカ法人の日本支店で営業をするのです。そこで、法務局と税務署に対して次の書類を提出します。ここで注目すべきは、銀行に10,000,000を預託し、保管証明を出してもらう必要が無いことです。
a デラウエア-法人の定款、附属定款及び、抄本
b 申請書、登記書
c 印鑑登録
又、法務局には登録免許税として、9万円を納付しなければなりません。
3. アメリカ本店と日本支店の運営
日 本で営業をするのですから、当然、日本の税務署に税申告をしなければなりません。又、本店はアメリカですから、アメリカ政府に対する申告も必要になりま す。ここまでは、アメリカのどの州を使っても同じですが、デラウエアー州の場合は、税申告が免除されており、何もしなくて良いのです。これが、カルフォル ニア州であれば、州内で営業活動をしなかったことを示す内容の報告と均等割税年間$800を納付しなければなりません。(代えて、デラウエアー州には年一 度のAnnual Reportという簡単な報告書と$50 程度の登録更新料が課されます。)
ご意見、ご質問は info@nagano-morita.com へ。
更新日: 2000年09月01日