会計税務情報2000年11月号
永野森田公認会計士事務所
TAX SAVING OPPORTUNITIES
駐在員の税務
こ の時期になりますと、急に税務関係の照会の電話が多くなります。その中で目立つのがこれまでは音沙汰なしだった駐在員諸兄からの米国納税に関する質問で す。そこで、これから新年にかけて、日本から来られ、短期間アメリカに滞在される方特有の税務問題に焦点を絞って、基礎的な解説をしていくことにしまし た。
ビザとの関わり
アメリカには多種多様の日本人が入国してきます。これを大別すると、観光旅 行と仕事ということになるでしょうか。当然の事ながら仕事で訪れる日本人はアメリカの税制と関わりを持つ可能性が高く、逆に観光旅行の目的で入国した人は その可能性が低いことが想像されます。入国目的はアメリカ滞在許可証たるビザの種類に反映されているので、通常、ビザと税金との間には密接な関係が成立す ることになります。
然し、仕事の延長で入国したからといって、必ずしも所得が生まれ、税の問題が惹起される訳ではありません。逆 に、観光目的で入国した日本人は税の問題に無縁かと言えば、そう言い切れるわけでもありません。課税されるか否かは、むしろ、アメリカ国内で実質的に経済 活動に係わっているかどうかで決ってくるのです。これを税法では、アメリカ源泉所得(US Source Income)の有無と表現します。更に、源泉所得はアメリカでの事業に関連しているか否か(Effectively Connected with US Trade or Business)に大別されています。これが、アメリカ所得税体系中、外国人課税の骨格をなしているのです。
アメリカ源泉所得(US Source Income)
“SOURCE” は地理的場所を指し、 “US SOURCE”はアメリカ国内を指します。外国人にとってこの概念が大切な理由は、”US SOURCE”の所得のみが課税され、”US SOURCE”でなければ外国人の所得はアメリカからは課税されないからです。源泉地と所得との関係は税法で定められており、主なものを拾って見ると次の 通りです。
利息収入-債務者の住所
役務- 役務が提供された場所
ロイヤルテイ-無形資産が使用された場所
例 えば、アメリカの債務者から利息収入を得ている人は、例え日本に住んでいてもアメリカ源泉所得があることになり、アメリカの会社の依頼で商品開発をしたこ とで報酬を得た人は、その商品開発を日本でやったのであれば、アメリカの源泉所得の心配をする必要はないということになります。(この続きは12月号をお 読み下さい。)
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更新日: 2000年11月01日