会計税務情報2002年2月号
永野森田公認会計士事務所
カルフォルニア州法人税(その2)
カ ルフォルニア州の法人税は、通常Franchise Taxと呼ばれています。連邦税とは異なる名称です。然し、税の算出過程に然程の差がある訳ではあり ません。カルフォルニアには悪名高いユニタリ-税がありますが、連邦税にはそういう税は見当たりません。反対に、連邦税でいう移転価格制度はカルフォルニ アにはありません。然し、両者ともに税配分に高い関心を持つという点では共通しています。このように、カルフォルニア州税と連邦税とは微妙な間隔を保てい ます。
1、州内業務と州際業務
アメリカには50の州があり、殆どの州で所得税、法人税を徴求してい ます。カルフォルニア州も例外ではありません。一方、企業側は各州単位での法人登録後、営業範囲を州内に限定するものもあれば、州を跨いで営業活動に従事 するものもあります。例えば、鉄道は、多くの州を通過するのは当然ですし、カルフォルニアで陸揚げされた日本の輸入食料品は、米国全土の流通網に乗って販 売されることでしょう。又、カルフォルニア州で生産された機械の一部は外国に輸出されるかも知れません。このように、地理的要因により、活動範囲が州内の みの州内(Intra-State)業務と複数の州又は外国との拘わりを持つ州際(Interstate)業務の二つに大別されるのです。
2、Public Law 96-272による、州内か州際かの判断
一 つの州内で事業をしているか、他州に跨がっているかの判定には、連邦法によって定められた基準を用いなければなりません。例えば、カルフォルニア州にある 企業が、隣のアリゾナ州の得意先に商品を販売する場合を考えて見ましょう。一見して、二つの州に跨っているように考え勝ちですが、実は、このケースでは、 PL96-272に鑑み、カルフォルニア州内業務と判定するのが正解です。1959年に出来たこの連邦法は、各州の課税範囲を制限し、他州に本拠地を置く 企業社員又は代理人のセールス活動が行われても、他州から商品が出荷されている限り、当該州での課税をしてはならないとしているからです。従って、一般的 には、物理的拠点があるか無いかが判定の分かれ目と考えられています。
3、Uniform Division of Income for Tax Purposes Act (UDITPA)
州間の税配分原則(1)
上記連邦法基準で、州際業務と判定された時には、州間で、税配分をしなければなりません。
その為に1967年に制定されのがUDITPAで、殆どの州がこの連邦法を受け入れ、州際業務から生まれた利益を売上、固定資産及び人件費の比率の加重平均値で配分する方法を採用しています。
4、Unitary Tax―州間の税配分原則(2)
UDITPA は一つの会社が州を越えて業務活動をしている場合には、有効な尺度を提供してくれますが、、同じ資本系列の別会社が二つ以上の州で営業するような状況で は、ガイドラインとしては不十分です。そこで、カルフォルニア州他幾つかの州では、例え、別法人であっても、次の3つの条件の一つでも当て嵌まるような状 況では、一つの会社と見做し、これにUDITPAの配分方式を適用するというスタンスをとっています。3つの条件とは、1、過半数の所有比率 2、ライン の統合 3、スタッフの統合を意味しています。こうした別法人でも、一定の条件を充たした場合には、一つの会社と解釈する税制をユニタリータックスと呼ん でいます。
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更新日: 2002年02月01日