会計税務情報2002年11月号
永野森田公認会計士事務所
為替差損益計算法
(その2-為替予約の話し)
為替予約の会計は、SFAS133他で定められています。この分野は難解ですので、ここでは、紙面の都合もあり、日系進出企業が現実に直面する可能性の高い、次の例に限定した解説に止めておきます。
事例、A社は2002年1月1日に2002年6月30日引渡予定で120,000,000円の機械を購入する契約を結んだ。A社は同時に為替変動でのリスクを回避する為に1ドル120円で円買い予約を入れた。以後、2002年6月30日引渡予約レートは次の様に変動した。
2002年3月31日 115円
2002年6月30日 110円
SFAS133による会計処理
上 記ヘッジ取引はデリバテイブの一種と考えられるのでSFAS133を適用し、先物契約の価値を認識するFair Value Hedgeとして捕らえることが出来ます。即ち、機械の買い付け確定約定(Firm Commitment)と為替予約(Forward Exchange Contract)の相殺取引という形で仕訳を入れます。例えば、3月31日での確定約定の価値は1ドル当り5円下り、逆に予約の価値は5円上がりまし た。仕訳は次の通りになります。
Account Title | Debit | Account Title |
Credit |
Forward Exch Contract(B/S) | $50,000 | Gain | $50,000 |
Loss | $50,000 | Firm Commitment(B/S) | $50,000 |
(正確には$43,478の所、単純化の為、$50,000とした.。以下同様。)
6月30日は次の取引になります。
Forward Exch Contract (B/S) | %50,000 | Gain | $50,000 |
Loss | $50,000 | Firm Commitment(B/S) | $50,000 |
Cash | $100,000 | Forward Exch Contract(B/S) | $100,000 |
Firm Commitment(B/S) | $100,000 | ||
Machinery | $100,000 | Cash | $1,100,000 |
以上でお分かりの通り、SFAS52ではスポットレートを基準に先物予約為替差損益を計算したのに対し、SFAS133では、予約された為替レートが資産の換算レートとなり、予約から決済日までのヘッジの動きをB/S上で捉えます。
キャッシュフローヘッジ
以 上の方法論においては、外貨によるFirm Commitmentが為替変動から受ける影響に関心が注がれています。為替予約は、同時に、将来のキャッシュフローを確定する為の手段とも考えられま す。よって、SFAS133は、こうした観点からの会計処理も許容しています。この方法論によれば、上記仕訳中Firm Commitment部分が割愛され、結果として、予約の経済的効果が資産取得価格に反映される形になります。
6月30日の取引を当該方法で処理すると次の通りになります。
Forward Exch Contract(B/S) | $50,000 | Comprehensive Income(B/S) |
$50,000 |
Cash | $100,000 | Forward Exch Contract (B/S) | $100,000 |
Machinery | $1,100,000 | Cash | $1,100,000 |
更新日: 2002年11月01日