会計税務情報2003年2月号
永野森田公認会計士事務所
2002年改正税法の留意点
愈々2002年の所得税、法人税の申告の時期になりました。今月は、昨年の改正税制の中から、日系企業に関係があると思われるものを拾い直してみました。いずれも、税対策をする上で重要な意味を持っています。
Federal
1, 30%ボーナス償却制度
2001年9月10日以降2004年内に投入された機械等の設備(建物は除く)は経済耐用年数が20年未満であることを条件に、初年度に30%の割増償却をすることが出来ます。但し、外国に配置してある機械などADS償却対象資産には、この制度は適用されません。
事例 A社は2002年4月1日に$100,000の機械を増設したとする。A社はまづ$30,000償却をとり、残りの$70,000については、従来通りの方法で2002年及びそれ以降に償却をとる。
2, ミニマム税計算上の繰越損失(NOL)の扱い
所得税、法人税いずれの計算においても、通常の税計算とは別にミニマム税計算をしますが、この計算上で一番のネックになるのが、NOLです。従来の制度では、通常の計算ではNOLを全額、所得と通算できるのに対し、ミニマム税計算では、所得の90%が限度でした。
2001年に続き2002年に於いても、ミニマム税計算に際し、NOLによる所得の通算に制限はありません。残念ながら、2003年には旧制度が復活し、90%通算に戻ることになっています。
事 例 B社は多額のNOLを抱えてきたが、運良く2002年には$1,000,000の利益が確保できる見込となった。旧法によれば、ミニマム税計算上 NOLによる控除は$900,000が限度であったが、新税法では$1,000,000まで控除可能。よって、NOLが$1,000,000以上あれば、 2002年の法人税(Federal)はゼロとなる。
カルフォルニア
1993年以来、Federal上カン トリークラブ他プライベートクラブの会費は税務上損金不算入になりましたが、カルフォルニア州は、主たる目的が業務であれば、依然として損金処理を容認し てきました。然し、2002年からは、Federal税制と軌を一にし、これを損金不算入に変えています。(但し、Federal、California のいずれの税制に於いても、クラブを使った接待は、全て、その経費性を認めないというのではありません。個別に接待費としての要件を充たしていれば、一般 の接待費、交際費と同じ扱いになります。)
事例 C社は、カントリクラブを専ら業務推進の目的に利用している。先月の請求内
容を見ると、Monthly Due $500、接待用の食費やグリーンフィーが$500である。仮に、接待用の費用が経費性を満たしているとすると、税務上損金算入できる金額は、$250である。
更新日: 2003年02月01日