会計税務情報2003年3月号
永野森田公認会計士事務所
法人税、所得税の時効
一 般的に、アメリカでは3年経つと時効に掛かるため、税務署の調査を受けなくて済むようになると信じられています。だから、3年間だけ見つからなければ、安 心だとか、税務関係の書類は、3年経ったら廃棄処分しても構わないというのが常識になっているようです。本当でしょうか。本稿では、時効の本質に迫りま す。
1、時効によってもたらされるもの
時効になると税務署は税務調査する権利を失うというのが一般的常識 のようですが、正確には、時効になると、税務署は税金徴収並びに訴追の権限を失い、同時に、納税者側は一度納めた税金の還付を求める権限をも失うことにな ります。即ち、時効になるのは、提示罰と税金の追徴、還付の部分であり、事実関係が確定するということではない点に留意して下さい。
―事例―
A 社は設立後5年経ち、第2期の確定申告をしてから3年が経過したので、最初の2年間に発生した累積損失額は確定したと考えていた。ところが、IRSによる その後の税務調査で、初年度の固定資産の償却計算に誤りがあり、償却費の過大計上が発見された。その結果、累積損失額が減額されることになったが、この更 正については、時効の保護を受けられない。
2、 時効成立の期間計算はどのようにするのか
基本的な規則は、IRSによる更正及び納税者の修正申告は確定申告書提出日から3年以内になされなければならないというものです。但し、確定申告書の提出が期限前になされた場合には、提出期限から数えて3年になります。
―事例―
A社は法人税の申告期限が3月15日であるにも拘らず、3月10日に提出した。時効が成立するのは3年後の3月10日でなく、3月15日になる。
次 に提出日とは何時を指すのでしょうか。これは、郵便物の投函日となります。最近では、UPS, Fedex, Air Born Expressなどの民間宅配業者を使うことがおおくなりましたが、郵便局と同じで、そうした外部の郵送手段に書類を委ねた日が提出日となります。
3、その他、時効に関する基本的枠組み
○確定した税額の徴収については、時効は10年です。
○次のような状況では、時効期間は6年に延長されます。
申告された収入の25%超の申告漏れが発見された時。
○次のような状況では、時効は成立しません。
虚偽の申告.無申告
―事例―
B氏はグリーカードを保持しながら日本に帰国した。5年後、アメリカに再入国しようとしたら、過去の確定申告書の提出を求められた。日本に在住した5年間は一度も申告書を出していない。B氏は、当局の求めに応じ、過去5年の申告書提出義務と、それに伴う納税義務を負う。
更新日: 2003年03月01日