会計税務情報2004年1月号
永野森田公認会計士事務所
ハイテク時代の税務
コ ンピューターテクノロジーの著しい進歩は、金の流れを変え、会計や税務の世界にも確実に影響を及ぼしています。今や、こうした無形資産 (Intangible assets)の知識無しには、正しい財務諸表も有効な税務対策も有り得ないといっても過言ではありません。今月は、その中で最も身近なコンピューターソ フトとインターネットを巡る税法の立場を考察します。
1、コンピューターソフト
コンピューターソフトについては、2000年12月発表のRevenue Procedure 2000-50に見られる通り、当局の見解は以下の様に明らかです。
a、 購入ソフト-無形資産として認識し、業務使用開始月から3年間で定額償却します。ハードに組み込まれ、ソフトの値段が分からない場合にはハードの償却期間 即ち、5年間で償却します。同じ購入ソフトでも、資産買収を通して得られ、税法197条無形資産に当ると判定される場合には、償却期間が15年に延びま す。
b、ソフト開発費-利用目的が納税者自身の為か販売用か又はリース用かに拘らず、その開発費は税法174条研究開発費と同じく、当該期の経費とするか5年間の定額償却の何れかを選択します。
(注1、ソフトとは、コンピューターに指令を与えるプログラムと定義されています。)
(注2、購入と開発の区別は、ソフト制作者の責任の所在で判断されます。)
(注3、償却資産としてのソフトは、税法167条の割増し償却―現在50%-が利用できます。)
2、ウエッブサイト
この分野についのIRSの公式見解は未だ示されていません。然しながら、IRSの Industry Specialization Program(ISP)作成メモ並びに専門家の支配的見解を見る限り、次の三点は明確です。
a、ウエッブサイトはコンピュータソフトとは機能、複雑性の観点から判断して、異質の物で、税法としても同一視できない。
b、 ウエッブサイト全体を一つとして捉えることは出来ない。計画部分, ハードの選択やドメインネームの決定などから成る立ち上げ段階、画像、文字、音声の組み込みからなるコンテンツ部分と維持管理の4つから構成されている。
c、宣伝費とは異なる。むしろ、ビルボード(野立広告塔)的性格を持つ。
以上の認識に立ち、ISPは原則3年間の償却が妥当と結論づけていますが、次の通り、多面的である点に配慮しなくてはなりません。
a、計画段階については、既存の事業の延長であれば、当期経費となり、新規事業であれば創業費として、5年間で償却。
b、コンテンツは、殆どの場合経済耐用年数が1年以内で、宣伝費と考えられる。
c、維持、管理費も当期費用と考えられる。
参考:関連税法は次の通り
IRC 162-営業経費, IRC 167-償却方法, IRC 174-開発、調査経費,
IRC 195-創業費, IRC 263-無形資産の償却
更新日: 2004年01月01日