会計税務情報2004年6月号
永野森田公認会計士事務所
企業に於けるInternal Control(内部統制)の意義
Internal Control("IT")は、内部不正防止と不正が行われた時の早期発見がその目的とされます。それは、企業内管理体制(コーポレートガバナンス)の中 核と考えられており、Sarbanes-Oxley Actの登場により更に重要性が増しています。ITこそが、財務諸表の質を高め、信頼性保証の決め手となると考えらているからです。今月は、このITを概 観します。
ITは規模や業種の差を超えて、5つの柱で支えられていると考えられます(SAS 78)。この5つの要素がいかに有機的に機能するかが、内部統制成功のカギを握っています。
(注 SAS78の前身たるSAS55では、IT = 会計システムと解釈されていました。)
1、統制環境 経営者の統制への考えや態度を表現する企業カラーのことで、具体的には、企業の次の側面を指しています。
倫理観念、経営哲学
組織及び権限委譲、取締役会や監査委員会の関心
人事管理方針、手続き
2、リスク査定
内部不正(財務諸表の虚偽表示、会社財産横領)の潜在性を探るチェックポイントは、次の3要素だと考えられています。
誘引、誘惑の存在。例えば、現金があれば着服の原因となり、オプションが報酬の大半を占める報酬制度下では、粉飾決算の誘惑があるなど。
機会、即ち隙がないか。
社員の振舞及び態度、内部統制を無視する従業員の存在。給与と生活態度の整合性な監査論に於けるリスク査定 Inherent Risk x Control Risk x Detection Risk)との相違に注目
3、統制の実行
会計システムに於ける営業現場と記録及び報告の分掌、商品盗難防止策といったアクションプログラブを意味しています。
4、情報伝達
組織内部における内部統制の浸透を意味しています。マニュアル、通達、口頭等伝達手段がありますが、組織が大きくなればなるほど内部統制への理解は低くなっていく傾向があります。組織の巨大化に有効な手段としての内部告発制度の導入などは、この一例と考えられます。
5、監視体制
内部統制の欠陥に注目し、その改善努力を促進する仕組みを指しています。営業形態も人事並びに組織は常に流動的なので、内部統制体制も変化に敏感でなければなりません。
更新日: 2004年06月01日