会計税務情報2004年7月号
永野森田公認会計士事務所
会計事務所に求められる厳格な独立性
AICPA Interpretation 101-3の意義
会 計事務所が提供するサービスは、広範囲に亘っています。会計、税務業務以外にもコンピューターシステム関連コンサルテイング、株やビジネス評価、移転価格 スタデイ、ビジネスプラン作成等々。これを整理すると、財務諸表監査、レビュー等の証明業務(Attestation)とその他の非証明業務(Non- Attestation)に二分することが出来ます。実は、こうして二分された業務は、独立性の観点からは相容れない性質を持つので、同一の会計事務所が 双方の業務に携わるについては、特別の配慮をしなくてはならなくなりました。
AICPA-Interpretation 101-3
AICPAの倫理委員会は2003年9月にInterpretation 101-3を改定し、会計士が非証明業務を提供する場合に、その独立性を維持する為の条件を明らかにしました。
1、クライアントは、会計事務所に非証明業務を委託する際には、以下に述べる機能を分担しなければならない。
A 経営的機能及び判断
B 当該業務が理解できる社員による、業務の監督
C 遂行された業務の評価
D 結果の承認、受諾
2、会計事務所は、非証明業務の最終責任がクライアントにあることを明示し、それを文書化しなければならない。
3、情報システム、ビジネス評価等、以前は独立性を阻害しないとされた業務も、新基準ではそれに抵触することになる。
財務諸表監査、レビューへの影響
財務諸表監査、レビューといった業務遂行に際しては会計事務所の独立性が保証されなければなりません。次の状況下では独立性が失われていると考えられ、証明業務を同一の会計事務所が担当することは出来ません。
A 会計士による経営的機能の遂行並びに経営的判断
B クライアントに経営機能並びに判断能力が欠如しているか、又は、会計事務所が行う非証明業務を監督できる人材の欠如
C 非証明業務の目的、結果の理解と責任負担についての文書不在
財務諸表コンピレーションへの影響
監査ないしはレビューに於ける独立性の条件と変わりありません。
実施日
2004年より新規則が発効していますが、文書化については、1年の猶予期間が与えられており、2005年からとなります。
更新日: 2004年07月01日