会計税務情報2004年12月号
永野森田米国公認会計士事務所
2004年税法改正
2004年10月ブッシュ政権はAmerican Job Creation Actと題する改正税法を制定しました。今回の改正の特徴は、所謂所得税減税ではなく、タックスシェルター投資への制限や罰則強化並びに手数料引き上げに 財源を求める自己完結減税の形をとっていることです。影響を受ける分野は広範囲で、本稿で全てに言及することはできませんが、概略は以下の通りです。
1. 法人税の分野
①支配法人グループの定義
支配法人グループに属する会社は一つの法人と看做され、累進税率や留保加算税非課税額及びミニマムタックスの算定に当たっては、一社分の枠を所属するメン バー全員に配分しなければなりません。同グループには親子関係構成される場合と兄弟関係で成り立つ場合の二つがありますが、今回後者の範囲が拡張されまし た。
これまでの定義 ― 5人以下の株主が80%以上の議決権付株を持ち(単純合計)、当該株主が持つ,メンバー企業への共通持分比率の合計(共通持分)が50%を超えている場合とされていました。
改正後の定義 - 単純合計が80%以上から50%超に拡大されました。
事例―以下の法人グループに於いては、従来の定義では単純合計が80%に達せず、支配法人グループの定義から外れていましたが、改正法下では、XYの単純合計がそれぞれ50%を超えているので、同一支配グループとなります。
個人 | 法人 グループ | 共通持分 | |
X | Y | ||
A | 40% | 35% | 35% |
B | 25% | 25% | 25% |
合計 | 65% | 60% | 60% |
②償却期間
会計原則(GAAP)と税法と落差が大きく、問題視されていたリース改造費の償却期間が大幅に短縮されました。一定の条件(詳細省略)を充たせば、従来の39年定額法から15年の定額法に短縮されます。
関係会社間のリースについては適用されません。
これとは別に、レストランの改造費についても、従来の39年定額法から15年定額法にスピードアップされました。
2.個人所得税の分野
レーガン政権下で姿を消したセールスタックスが久々に再登場しました。然し、今回は単独で控除適格となるのではなく、州所得税を上回る場合のみ減税効果が期待される仕組みになっています。
3.罰則等
外国の金融機関に勘定を持っている個人、法人はその事実を報告する義務を負っていますが、これを怠ると一件につき$10,000の罰則の対象となることと なりました。意図的になされたことが判明した場合にはその額が更に増え、$100,000又は口座残高の50%何れか多い方となります。
個人の場合はSchedule B 及びTD F-90-22.1で報告されます。
更新日: 2004年12月01日