会計税務情報2005年2月号
永野森田米国公認会計士事務所
日米社会保障協定発効へ
今号におきましても今秋発効予定の日米社会保障協定を検証します。今回は特に、日米の年金加入期間の通算方法に関する留意点、また日米加入期間の通算に基づいた受給申請をする場合の事務手続きに焦点を当てます。
1、日米の年金加入期間の通算
日本、米国から年金を受給するためにはそれぞれの国が定めた年金加入期間の条件(日本:25年、米国:10年)を満たす必要があり、受給要件を満たせず、 海外赴任中に納めた保険料が『払い損』となるケースが日米間で多発していました。日米社会保障協定の発効により、年金受給権利の有無の判断基準となる資格 期間を計算する場合に、日米シ国における加入期間を通算できることとなりました。
(例)
米国年金 |
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米国に派遣 |
日本に帰国 | ||||||
日本年金 |
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協定発効前
米国年金(加入期間6年)も日本年金(加入期間19年)も資格期間の要件を満たさず、よっていずれの国の年金も受給不可。
協定発効後
米国期間6年と日本期間19年を通算し、合計25年。米国、日本両方の資格期間の要件を満たす為、米国からは6年分、日本からは19年分に応じた年金が受給可。
年金加入期間を通算する場合には以下の点に御注意下さい。
・ある一定の期間において日米両国に対し年金を2重払いしていたとしても、加入期間を2倍することは出来ません。つまり、上記の例において、米国派遣中に日本で年金を支払っていたとしても、その期間を 12年(6 X 2)と見なして計算することは出来ません。
・日米での加入期間が10年を超え、米国の受給条件を満たした場合でも、米国における年金加入期間が1年半未満の場合には、米国年金を受給出来ません。
・日本年金の加入期間には、厚生年金および国民年金の両方が含まれます。
2、米国の年金加入期間との通算に基づいて年金を受け取るための申請方法
米国での年金加入期間が10年に満たない人が、日本年金加入期間との通算に基づいて(米国)年金受給申請する場合の申請方法は以下の通りです。
①受給希望者が社会保険庁を訪れ、そこに備えられている”連絡票“に記入する。連絡票には社会保障番号等を記入する。
②社会保険庁が申請者の国民・厚生年金加入実績を調査し、その調査結果を連絡票に添付してSSA(米国社会保険庁)送付する。
③SSAは連絡票、公的年金加入実績記録を受け取り次第、受給申請者の為に裁定請求票を作成する。
④裁定請求票が受給申請者の日本住所に送られてくる。署名後SSAに返送。
上記申請はSSA経由で行うことも出来ますが、その場合、申請期間が長くなります。年金はドル建ての小切手にてSSAより郵送されるか、もしくは米国の銀行口座に払い込まれます。
米国年金の受給資格、受給申請等につき御興味のある方は、弊所LA事務所(213-621-2304)もしくは東京事務所(03-3500-3037))まで、お問い合わせ下さい。
更新日: 2005年02月01日