会計税務情報2005 年7 月号
永野森田米国公認会計士事務所
米国永住者-日本移住の税法心得
米国在住の日本人の一般的傾向として、米国籍の伴侶に恵まれ、幸せな家庭を築いている人を含め、長年米国で生活をしてきた人の殆どが、日本国籍のままで米 国市民権をとろうとしません。意識のどこかに、将来は日本に帰りたいという気持ちがあるからでしょう。統計的データは無いものの、現に、ある程度の年齢に 達した方々の多くが数十年の滞米生活に別れを告げて、古巣の日本に戻っています。本稿ではこうした、長年米国に居住した永住権者(GH)が、日本に移住す る(Expatriation )際の米国税法上の留意点を纏めてみました。
1 、永住権を維持する場合
永住権を放棄しない限り、日本に移住後も納税義務を負う。但し、外国所得除外特典を使い、年間$80,000 迄を非課税申請することができる。但し、米国側から給付される年金等は対象外。使用する主な報告書は次の通りとなる。
1040, 申告書本体部分を構成する書式
2555,日本で得た給与、報酬等を年間$80,000 迄除外申請する書式
1116,日本で支払った所得税について、米国納税計算上税額控除を申請する書式
2 、永住権を放棄する場合
A 永住権放棄の意図をSecretary of State 又は Homeland Security に通知する。
B 日本移住後、米国への納税義務が生じた場合には、1040 NR に添付して次の報告を行う。違反した場合のペナルテイは$10,000 。
(1)納税番号
(2)住所、居住国名
(3)納税者の所得、資産、負債
(4)米国滞在日数
C 納税義務の復活
永住権放棄後、10 年間経過以前に於いて一年で30 日間を越えて米国に滞在した年は米国居住者として課税される。
D 永住権放棄が、租税回避と解釈される場合
以下の条件を充たす者は、出国目的が租税回避と看做され、出国後10 年間米国を源泉地とする所得については、米国居住者と同じ税率で納税義務を負担する。(銀行利息収入は非居住外国人は無税の所、上記規則の下では課税所得となる。)
•出国前5 年間の平均納税額が$124,000 を超えた者、
•出国時点の財産が$2,000,000 を越えている者、
•出国前の5 年間に納税義務を果たしていない者。
3 、3 年以内の居住者への復帰
3 年超米国居住者でありながら、その後日本に帰国し、3 年以内に再び居住者に戻る時は、非居住者期間の特定の所得に対して追加の納税義務を生じることがある。
更新日: 2005年07月01日