新リース会計原則の実務 – 応用編

会計税務情報 2021年12月1日号
Nagano Morita, a division of Prager Metis

 

新リース会計原則の実務‐応用編

暦年(Calendar Year)決算を採用するアメリカの非上場企業は、2022年1月1日より、新リース会計原則(ASC 842)を適用することになった。この適用により、すべてのリース物件は、原則、オンバランス(資産計上)される。

今回は、リースの借り手側(Lessee)から見た具体的な会計処理について簡単に解説する。

 

1. 開始仕訳

企業は、リースの判別および分析を経た上で、リースをFinance LeaseもしくはOperating Leaseに分類する。会計処理としては、リースのCommencement Date(実行開始日)において、Dr) Right of Use (ROU) Asset Cr) Lease Liabilityの開始仕訳を行う。ここでの重要なポイントは、Finance LeaseおよびOperating Leaseともに同じ開始仕訳を計上することである。

2022年1月1日現在の契約済みリースに付いての取扱は、Practical Expedients Electionを会計ポリシーとして選択することで、旧リース会計原則(ASC 840)の下でCapital Leaseと分類されたリースは、Finance Leaseと名称が変更されるのみで、そのまま従来の会計処理が継続される。一方、2022年1月1日現在の契約済みリースで、旧リース会計原則(ASC 840)の下でOperating leaseと分類されたリースについては、将来支払われるリース料について、Dr) Right of Use (ROU) Asset Cr) Lease Liabilityの開始仕訳を行う。企業が比較財務諸表を作成している場合、2021年1月1日に遡及して開始仕訳を行うことも選択としては可能であるが、非上場企業には実務的ではないと考えられる。

Finance LeaseおよびOperating Lease の開始仕訳

 



Right of Use Assetに加算するInitial Direct Costは、Broker Feeなどリース付随費用である。リース交渉時に発生するLegal Feeは、リース契約をするか否かに関係なく発生するため、扱い方が異なり、ROU Assetに加算することなく、即時費用処理される。

一方、開始後の会計処理については、Finance LeaseとOperating Leaseの計上方法は違ってくる。次の具体例で解説する。

 

2.事例

□リース期間 3年

□リース支払額 Year 1年末 $100,000

        Year 2年末 $105,000

        Year 3年末 $115,000

□リース割引率 6.8172%

□リース支払額の現在割引価値 $280,000(計算済とする)

□借り手側のInitial Direct Costs $15,000

 

<開始仕訳>

 Finance LeaseおよびOperating Lease 共通



<開始後の仕訳>

Finance Lease

ROU Assetは、リース期間にわたり定額でAmortize(償却)する。

スケジュール計算表

 

【Year 1 仕訳 Finance Lease】

Year 2 及び Year 3 も上記計算表に基づいて同様な仕訳を行う。

 

Operating Lease

△ROU Assetに対して、Interest expense+Amortizationが全期間に渡り定額になるよう、Amortizationを差額計算で出し、ROU Assetから減額する(PLUG計算)。
△Interest expenseとAmortizationともに、同じ費用項目Lease Expenseに計上する(Finance LeaseのようにInterest expenseとAmortizationとに勘定項目を分けない)。

 

スケジュール計算表

【Year 1 仕訳 Operating Lease】


Year 2及びYear 3も上記計算表に基づいて同様な仕訳を行う。

 

3.まとめ

 

リースの開始仕訳については、Finance Lease およびOperating Leaseともに同じ会計処理となるがその後の仕訳は異なる。Finance Leaseでは、ROU Assetを償却するAmortizationが、リース期間に応じた定額で費用配分される。これに対して、Operating Leaseでは、AmortizationとInterest Expenseを合算した合計額Lease Expenseが毎年定額に費用配分されるように、AmortizationはPLUG(差額)で計算されることになる。

 

新リース会計原則(ASC 842)の適用は複雑であり、各企業の財務諸表に与える影響は異なる。自社のリースがどのような影響を財務諸表に与えるのかを調べ、その適用に当たっての準備を整えることを各企業にお勧めする。

 

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