コロナウィルス禍中の米国会計などの動き

会計税務情報 2020年7月7日号
永野森田会計士事務所

コロナウィルス禍中の米国会計などの動き

これまで当ニュースレターでは、COVID-19に対する米国連邦政府の緊急金融支援策や税務対策の概説に焦点を当ててきたが、今回は、そうしたコロナ禍中にある米国の会計分野などの動きについて簡単に解説する。

 

1. 新リース会計(ASC 842)および新しい収益認識基準(ASC606)適用の一年延期

FASB(米国財務会計基準審議会)は6月3日、Accounting Standards Update 2020-05を発行、新リース会計基準(ASC 842)および新しい収益認識基準(ASC 606)の非上場企業への適用を更に一年延期することを発表した。

新リース会計原則(ASC 842)の非上場企業への適用は、過去に一度延期されており、今年2020年12月15日後に開始される会計年度から適用される予定であった。しかし、コロナウィルスによる経済の悪化および企業経営への負担を考慮し、FASBは、ASC 842の非上場企業への適用を更に一年延期することを決定した。つまり新リース会計の新しい適用時期は、2021年12月15日後に開始される会計年度となる。

新しい収益認識基準(ASC 606)も同様である。ASC  606の非上場企業への適用は、2018年12月15日後に開始される会計年度からの予定であったが、これも一年延期となった。新しい適用時期は、2019年12月15日後に開始される会計年度となる。しかし、多くの非上場企業は、既にASC606を2019年度会計年度で適用しているようである。したがって、未だに新しい収益認識基準で2019年の決算書を作成していない企業がこの適用を一年延期できることになる。



2. PPPローンの会計処理

去る6月10日、AICPAからPPPローンに関する会計上の取り扱いについてガイダンスが発表された。一つ目は、FASB基準であり、二つ目はIAS(国際会計)基準である。

FASB基準は、PPPローンの借入期間中は債務として認識し(Long-term debt)、1%の利息を未払計上し、免除された時点で免除された金額を利益として認識する方法である。

一方、IAS基準のPPPローンは、実質、政府からの助成金という性質を考慮し、Deferred liabilityとして債務に認識しし、助成の条件を満たしていると結論づけられた時点において、発生費用に応じて利益を認識する方法である。

会計処理としては、FASB基準が企業にとってより容易と言えそうである、その際、企業は、その会計処理について財務諸表上の注記(Notes)で会計方針の開示が必要になってくる。

 

3. BEA(商務省経済分析局)による米国対外直接投資調査

会計や税務の分野から若干外れるテーマであるが、米国商務省(US Department of Commerce)より実施されている5年の一度の米国対外直接投資調査(BE‐10 Benchmark Survey: U.S. Direct Investment Abroad)の期限が迫っている。

ちょうど2年前、この逆パターンである5年に一度の「BE-12:外国人及び企業による米国内への直接投資の調査 」が実施されている。前回は、米国対内直接投資(BE-12)の調査であったが、今回は、米国対外直接投資(BE-10)の調査となっている。またBE-12と同様、当局側 から文書提出の連絡のない場合においても、BE-10提出は義務付けられている。かつ、未提出の場合、罰金が課される可能性もある。

当初のBE-10提出期限は6月30日であったが、今回のコロナの影響により、8月31日までの延期が可能となっている。詳しくは、以下BEAのウェブサイトをご参照いただきたい。

https://www.bea.gov/be-10-benchmark-survey-us-direct-investment-abroad

なお、上記についてのご質問等につきましては、当方メールアドレス info@nagano-morita.com 迄、直接ご連絡ください。

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永野・森田米国公認会計士事務所