Paycheck Protection Program Flexibility Actの概要

会計税務情報 2020年6月15日号
永野森田会計士事務所

Paycheck Protection Program Flexibility Actの概要

6月5日トランプ大統領は、中小企業救済策Paycheck Protection Program(PPP)規定を大幅緩和するFlexibility Actに署名した。PPPローン債務免除申請書が5月15日に公表されたばかりだが、経済回復を急ぐため、急遽法制化されたFlexibility Actにより、PPPローンによる債務免除対象可能額の計算方法はより柔軟となる。以下、こうした動きについて概説する。

 

1. PPPローン債務免除申請書

5月15日に公表された11 ページに及ぶ債務免除申請書(PPP Forgiveness Application)では、原則、債務免除対象期間はローン支払いを受けた日から8 週間、かつ債務免除を受けるにはPayroll Expenseを最低75%は維持しなければいけないと規定している。さらに、一定の従業員数、給与支給額を維持しなければ債務免除額上限は減額される。したがって、具体的な免除可能金額(Potential Forgiveness Amounts)は、以下三つの金額の一番少ない金額が免除される(line 11)。

<免除可能額は以下三つの一番少ない金額(line 11)>
a) 免除金額上限調整後のPayroll and Non-Payroll Costs
b) PPPローン金額
c) Payroll costを75%で割った金額

 

2. Flexibility Act

1) 今回のFlexibility Actにおいては、債務免除対象期間が8 weeksから24 weeksに大幅に延長された。すでにPPPローンを受けている企業は、そのまま8 weeksを利用することも出来る。今後新しくPPPローンを受ける企業は、ローン支払いを受けてから24 weeksもしくは2020年12月31日のどちらか早い方が対象期限となる。24 weeksを対象期間とすることにより、対象となる費用支払額が増加し、免除可能額を大幅に増やすことが出来るようになった。PPPローン額をほぼ全額免除も可能となる。

2) Payroll Expense比率75% ルールが、60%に緩和された。つまり40%まではNon-Payroll Costs(Rent, Utility)を債務免除対象額に充当することができる。上記の免除可能金額の計算方法からみると、c) Payroll Expenseを60%で割った金額が、免除可能額として考慮される。

3) PPPローンを受けた企業は、ローン受領後もPayroll Tax(Social Security Tax部分) 納税延期の恩恵にあずかることができるようになった。当初は、PPPローンを受けた企業は、Payroll Tax(Social Security Tax 部分)の納税延期という特別措置を、ローン受領後は受けることはできなかった。

4) 当初のルールでは、コロナ前の2020年2月15日時点における従業員数と給与支給額の水準を2020年6月30日時点まで維持ないし回復しなければ、債務免除額上限は減少されると規定されていた。今回のFlexibility Actによって、この従業員数と給与額の回復基準日が、当初の2020年6月30日から2020年12月31日まで、延期可能となった。ただし、この新しい2020年12月31日まで回復基準日を待つとなれば、それだけ債務免除申請手続きが2020年12月31日以降まで遅れることになる。

5) 今後新しく支払われるPPPローンについては、免除されない部分は、5年間の1%低利子ローンに変わる。当初のルールでは、免除されないPPPローン部分については、2年間の1%低利子ローンに移行することになっていた。

以上により、PPPローンを受けた企業の多くは、新しい24  week covered weekのメリットをフルに活かし、実際の債務免除手続きを年末まで待つところが出てくるものと予想される。また、それまでに修正された債務免除申請書もSBAより公表される。

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