中小企業救済プログラム (Paycheck Protection Program, EIDL)

会計税務情報 2020年4月12日号
永野森田会計士事務所

中小企業救済プログラム
(Paycheck Protection Program, Economic Injury Disaster Loan)

 

米国連邦政府は、新型コロナウィルスによる被害に喘ぐ中小企業を救済するため、Coronavirus Aid, Relief, and Economic Security (CARES) Actの一環として、Paycheck Protection Program(PPP)を実施する。中小企業の雇用を守るため緊急的に資金を貸し付けるとともに、条件付きで債務を免除できるという大胆な内容である。今回は中小企業支援を目的としたPaycheck Protection Programのほか、これと併用することが可能なEconomic Injury Disaster Loan(EIDL)を紹介する。

 

1. Paycheck Protection Program (PPP)

債務免除を可能とする中小企業ローンである。借入可能額は、従業員の月平均給与額(average monthly payroll costs)x2.5倍、上限は$10 Millionまでとする。Small Business Administration(SBA)が運営主体となっているが、SBAの認可するローカル民間銀行が貸付窓口となる。2020年4月10日から2020年6月30日までの期間限定で行われる。

【資格要件】

原則500名以下の従業員を抱えるSmall Businessを対象とする。この500名以下の条件については、SBAのAffiliate Rule(関係会社ルール)が適用される。Affiliate Ruleにおいては、企業の資本関係や経営関係にあるグループ企業を考慮、ひとつのグループ企業として従業員をカウントする。そのため、多くの日系企業は、日本の親会社なども従業員カウントで考慮しなければならず、このAffiliation Ruleにより、対象から外れてしまうケースがみられる。ただし、例外規定として、ホテル業や食品サービス業(accommodation and food services sector)に属する企業であれば、物理的な場所ごと(per physical location basis)によって、従業員の数が計算される。それは、ホテルや食品サービス業が、コロナウィルス騒動で最も被害が大きいと考えられているからである。

さらに従業員が500名を超えていても、企業の属する業種により、売上げ規模が小さいなどSBA定義するSmall Business Concernに該当する場合、PPPローン対象となりうる。個人自営業者や独立請負業者は、この500名以下ルールとは無関係にローン対象者となる。

対象企業は、2020年2月15日よりも前に事業を運営しており、今回のコロナウィルス騒動によるビジネス被害状況を誠実かつ真実に申告しなければならない(Good Faith Certification)。売上げや顧客の減少、従業員の雇用維持の困難、経営維持の難しさなどがあげられる。そしてこのローンを、従業員給料、不動産ローン返済、地代レント、水道光熱費に充当することとしなければならない。

 

【ローン可能額】

従業員の月平均給与額(average monthly payroll costs) X  2.5倍は以下のように計算する。なお一人につき年間給与額$100,000を、カットオフ上限とする。

PPP Loan

【債務免除】

ローン支払い受けてから開始する8週の期間、従業員給与、地代レント、不動産ローン利息返済、水道光熱費に関して支出した金額については、債務免除の対象となる。ただし、従業員給与以外の支払いについては、全体額の25%を超えてはならない(最低75%はPaycheck Protection目的)。さらにこの期間における従業員数の減少、または給料支払額の減少は、計算により債務免除の可能額も減額されてくる。

債務免除手続きについては、適正な書類上のドキュメンテーションを行い、すべてが正しいことを証明しなければいけない。詳しいことは述べられてないが、第三者によるドキュメンテーションの公証を得なければいけないという説もある。

債務免除されないPPPローン部分については、満期2年、利率1%の低利息ローンとして存続する。ローン返済は合計6か月間遅らせることができる。

例えば、コロナ騒動で被害を受ける食品サービス会社が、一人につき月平均給与額$5,000、100名を雇用していたとする。Maxで$1,250,000 (500,000 x 2.5倍)のPPPローンを組むことができる。その後8週間以内にその同額をすべて従業員給与、地代レント、不動産ローン利息返済、水道光熱費に使うことにより、満額の債務免除を受けることが可能となる。債務免除額は、税務上は非課税扱いとなる。

【申請手続き】

SBAの下記ウェブサイトから、申請フォームを書き込み、ZIPコードから最寄りのPPP取り扱いの民間銀行を検索、銀行の窓口にて申請する。
https://www.sba.gov/funding-programs/loans/coronavirus-relief-options/paycheck-protection-program-ppp

 

2. Economic Injury Disaster Loans (EIDL)

中小企業に対する$10,000現金支給(cash advance grant)および低利息ローンである。現金支給およびローンの用途については、従業員給与中心のPPPよりも、幅広く活用できる。現金支給(最高$10,000)については、100%グラントであり返済義務はない。またEIDLをPPPと併用できるというメリットはあるが、EIDL現金支給額については、PPP債務免除額より相殺されるというしくみである。窓口はSBAとなる。企業に対しては 3.75%利息、最高$2 Million、満期30年ローンである。2020年1月31日から2020年12月31日までの期間で行われる

【資格要件】

SBAの規定するSmall Businessを対象とする。つまり、500名よりも少ない従業員を抱える企業としており、PPPと重なる分部が多い。Affiliation Ruleも適用されるため、日系企業は日本の親会社なども含めた従業員数をカウントしなければいけない。ホテル業や食品サービス業に対する例外規定もないようである。ただし、PPPとは違い、コロナウィルス騒動により直接被害を受けた企業には限定されないため、より幅広い運用が可能である。2020年1月31日以後、事業を運営している企業を対象とする

【申請手続き】

SBAの下記ウェブサイトから、直接、申請手続き行う。
https://www.sba.gov/funding-programs/loans/coronavirus-relief-options/economic-injury-disaster-loan-emergency-advance

永野森田会計事務所では、引続きコロナウィルス対策の動向を注視し、読者にアップデート情報を適宜届けたいと考えている。

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