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トランプ税制改革 - 個人税編 2018/02/04

会計税務情報 2018年2月号
永野森田会計士事務所

トランプ税制改革-個人税編

 

去る2017年12月22日、トランプ大統領によるTax Cuts and Jobs Actが署名された。アメリカにとっては30年振りの大税制改革と言われている。その適用期間は、原則的に2018年以後からとなる。そのため実際の税務申告書作成作業への影響は、来年(2019年)以降となる。個人税について改革の目玉となるのは、基礎控除(Standard Deduction)や、チャイルドタックスクレジットなどの大幅アップによるメリット増である。一方、人的控除(Personal Exemption)の廃止や、Itemized Deduction制限強化などもあり、アメとムチを混ぜ合わせた形となっている。今回は、この税制改革における個人税の主要ポイントについて解説する。

 

 

1.  開始期間
原則:2018年度以後のIndividual Tax Returnに適用される。

 

 

2. オバマケアのペナルティー終了
オバマケア(Affordable-Care-Act)は、国民の全てが一定基準以上の医療保険に加入することを目的、2014年より導入されている。Minimum Essential Coverage基準以上の医療保険に加入していない場合、個人のTax Returnにおいて、ペナルティー(Shared Responsibility Payment)が計算される(Form 1040 line 61)。トランプ大統領の登場により、これに対抗する形で、2019年度より非加入者に対するペナルティーはなくなる(ゼロペナルティー)。

 

 

3. 個人税率の低減
最高税率は39.6%から37%へ低減する。

 

 

4. 個人AMT(代替ミニマム税)継続
税控除制度による節税の乱用を防止するために、設けられたのが、Alternative Minimum Tax。法人および個人に適用されていたが、個人AMTは継続、法人AMTは廃止される。しかし個人AMTを計算する過程での控除額は増える。

 

 

5. 個人の基礎控除額 (Standard Deduction) の大幅増
Below the line (Adjusted Gross Income) deductionである基礎控除 (Standard Deduction) 。シングル(独身)は$6,350から $12,000、夫婦合算は $12,700から$24,000(物価上昇により調整)と、2倍近く増える。これにより、Itemized DeductionからStandard Deductionを利用する個人が大幅に増えると予想される。

 

 

6. チャイルドタックスクレジットの大幅増
17歳未満のQualified Child一人に対するクレジット(減税額、還付額)は、$1,000から$2,000と2倍に増える。また同クレジットが、段階的に減額対象となる超過点(Threshold)については、AGIの$110,000から$400,000(夫婦合算)と、大幅に引きあげられる。

 

 

7. 一人あたりの人的控除額 (Personal Exemption) の終了
基礎控除の下に位置する人的控除(Personal Exemption、一人当たり$4,050(2017年))については、廃止される。基礎控除およびチャイルドタックスクレジットの増額により、補う形になる。

 

 

8. 適用ビジネス所得控除 (Sec. 199A, Qualified Business Income Deduction) 新設
スモールビジネスを対象として特別控除法の新設。対象は、Non-Corporateであり、Partnership/LLC/S Corp/Sole Proprietorshipである。Qualified Business Income (QBI)に対して、20%の所得控除を可能とする。一方、法人を対象とした国内製造活動控除Domestic Production Activities Deduction (DPAD, IRC 199)は、終了する。

 

 

9.  Schedule AにおけるMiscellaneous Deduction欄の廃止
基礎控除(Standard Deduction)およびSchedule A(Itemized Deduction)における控除金額について、どちらか大きい金額を選ぶ形になる。Schedule Aにおいて、Tax Preparation Fee など、AGI 2%足切りラインによる控除欄はなくなる。

 

 

10. Schedule Aにおける地方税の控除額に新たなキャップ
Schedule Aにおける州・地方税・固定資産税については、従来、上限はなかった。今回の法改正により、上限$10,000が設けられる。

 

 

11. Schedule Aにおける医療費控除floorの引き下げ
Schedule Aにおいて、医療費控除の足切りラインは、AGI 10%から7.5%に引き下げられる(戻る)。

 

 

12. 扶養料による所得控除、所得加算、の廃止
Above the line (AGI) deductionの代表格であった扶養料による所得控除(支払側)、所得加算(受取側)。今回の法改正により、なくなる。

 

 

13. 引越し費用の控除の終了
従来、引越し関連費用については、時間テストと距離テスト(50マイルテスト)をクリアできた場合、Above AGIで控除できた。今回の法案で、これが廃止される。

 

 

14. 相続税 (Estate Tax) 、 贈与 (Gift Tax) 、世代飛越移転税 (Generation Skipping Tax) の生涯免除額の増額
Estate, Gift, GSTの生涯免除額は、$5 millionから$10 millionに増額。年間のGift Tax 免除額(Annual Exclusion)は、$14,000/yearly(2017年)で推移する。

 

 

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