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米国税法上の居住者(Resident Alien)と非居住者(Non Resident Alien)の決定方法 2017/08/04

会計税務情報 ~基礎編~ 2017年8月号
永野森田米国公認会計士事務所

米国税法上の居住者(Resident Alien)と非居住者(Non Resident Alien)の決定方法

 

今回は、米国税法上の居住者と非居住者の決定方法について、説明したいと思います。この決定を見誤ると、苦労して作成した確定申告書が根本的に間違えているということになりかねません。

 

 

1. 税法上のステータスの種類
米国における税法上のステータスは大まかに以下の5つが考えられます。

  • U.S. Citizen
  • Resident Alien
  • Non Resident Alien
  • Dual Status
  • Dual Resident

上記のうち、米国市民(U.S. Citizen)と米国居住者(Resident Alien)は、米国税法上ほぼ同等に扱われます。また、Dual Status とDual Residentに関しては、少し特殊な状況ですので最後に記します。一番理解する必要があるのが、居住者(Resident)と非居住者(Non Resident)の区分方法です。なぜ理解が必要かというと、申告に使うフォームと税金の計算方法が全く異なってしまうからです。また、これらの税法上のステータスは、特定の場合を除いて自動的に決まってしまうもので、自身で選べるというものではないので注意が必要です。

 

 

2. Green Card Test とSubstantial Presence Test
米国税法上のステータスは、一般に以下の2つのテストによって決定されます。

 

Green Card Test
Green Card を保有者は米国滞在に関わらずResident Alienに該当します。

 

Substantial Presence Test
申告の年において、滞在日数が31日以上、かつ
申告の年における滞在日数 + その前の年における滞在日数 x 1/3 + 2年前における滞在日数 x 1/6の合計が183日以上の場合はResident Alienに該当します。 

申告の年・・・対象とするTax Returnの年をさします。2017年のTax Returnの場合は2017年。
上記2つのテストのうち、どちらかを満たすと税法上居住者(Resident Alien)として扱われます。

 

F、J、M、QビザのTeacher、TraineeおよびStudentには例外がありますので、注意が必要です。

 

(計算例) 2015年、2016年、2017年と、毎年122日ずつ滞在したとします。Substantial Presence Test を適用すると以下のようになります。

 

122日 + 122日 x 1/3 + 122日 x 1/6 = 183日
従って、この例では2017年度の税法上のステータスは、居住者(Resident)となります。毎年の滞在日数を121日以内に抑えれば、Substantial Presence Testの適用において、税法上居住者(Resident Alien)とはなり得ないということを示しています。

 

 

3. Closer Connection Exception
Substantial Presence Test によって米国税法上居住者(Resident)扱いがされてしまっても、以下のことを示すことができれば、例外的に非居住者(Non Resident)として扱われることができます。

  • 申告の年において、滞在日数が183日未満であること。
  • Tax Homeが米国外にあること。
  • 米国との関連以上に、Tax Homeのある国に関連があること。

この例外措置を受けるためには、フォーム8840を提出する必要があります。

(補足)出張のため米国滞在が多いビジネスマンは、申告の年に183日以上の滞在をしない限り、日本の企業からの所得は、日米租税条約を使うことで、米国税法上課税されないことになります。ただし、新日米租税条約(第14条)では、183日の数え方が上記とは異なり、申告の年に開始または終了するいずれの12カ月間における滞在日数が 183日を超えないこと、となっております。これは、年をまたいで滞在することによる183日以上の滞在が、事実上183日以上の滞在として扱われることを意味します。

 

 

4. 税法上居住者(Resident Alien)と非居住者(Non Resident Alien)の決定方法

F, J, M, Qビザ以外の方の場合

 

 

5. Dual Statusについて
Dual Status は、一般に米国へ入国した年や米国を去る年に適用されます。例えば、F,J,M,Qビザ以外で入国した場合は、いきなりSubstantial Presence Test の適用を受けてしまい、183日を越えて滞在した場合は入国年から税法上居住者(Resident)として扱われます。この場合は、全世界の所得が申告対象になってしまいます。それを緩和する意味で、一年のうち 非居住者(Non Resident)として扱われる期間と居住者(Resident)として扱われる期間と分けて申告する形をとることになります。Dual Status となると以下の制限が出てきます。

  • 定額控除(Standard Deduction)が使えなくなります。
  • Head of Household のFiling Status が使えなくなります。
  • 結婚していても夫婦合算申告(Married Filing Jointly)が使えなくなります。
  • Education Credit, EIC (Earned Income Credit)などが使えなくなります。

 

税法上居住者(Resident Alien)に比べると、報告するべき所得が非居住者扱いの期間については米国源泉所得に限られるため、控除の面で恩恵が少なくなります。

 

(例)前年度の申告で米国税法上居住者扱いされていた人が、次の年の途中で日本へ帰国したとします。この場合、帰国年も米国居住者扱いとなります。米国税法上居住者として扱われた場合、全世界所得が申告対象となり、日本に帰国してからの所得についても申告義務が生じます。この場合には、米国滞在中は 米国居住者として、帰国後は米国非居住者として税金の計算をすることになります(当面米国居住者にならないことが前提)。この場合、1040NRと1040の両方のフォームを使うことになります。Dual Statusのルールはやや複雑ですので、詳細に関しては、IRS Publication 519 U.S. Tax Guide for Aliensを参照ください。

 

 

6. Dual Residentについて
Dual Status とDual Resident は別の意味で使われます。米国以外の国(例えば日本)の税法上居住者(Resident)であり、かつ米国で居住者(Resident)扱いになった場合などがこれに該当します。つまり、両国において居住者(Resident)となった場合です。この場合、日米租税条約によって日本の居住者と判定される場合、フォーム8833を使い米国において非居住者(Non Resident)として申告することが可能です。

 

米国税法上、居住者なのか非居住者なのか、この判定から米国での税務上の取り扱いが変わってきます。少しでも疑問が残る場合には必ず専門家に相談されることをお勧め致します。

 

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