永野・森田米国公認会計士事務所では、日米会計、経理、簿記、監査、税務、など日系企業の
米国進出ならびに米国での事業拡大に貢献してきた米国公認会計士事務所です。

JAPANESE / ENGLISH

採用情報 / お問合せ

トップページ > ニュース一覧

米国の法人進出形態の違い 2017/04/04

会計税務情報 ~基礎編~ 2017年4月号
永野森田米国公認会計士事務所

米国の法人進出形態の違い

 

会計税務の基礎的な情報、「基礎編」をお届け致します。
米国でビジネスを始めることを決めた後に、まず決めなければならないのが企業の進出形態となります。本格的にビジネスを行う場合の代表的な米国進出形態は、日本企業の支店(Branch)、現地法人設立(Corporation、LLCなど)の大きく二つに分けられるのではないでしょうか。

 

 

1. 米国支店の場合

日本の法人が州に外国法人登録を行い、連邦納税者番号(EIN:Employer Identification Number)や州への登録番号を取得して活動を行う。この場合、日本法人の米国支店という位置づけであるため、会社設立の手間がかからない、事業開始初期の赤字を日本の本店の利益と相殺できるなどの利点があります。しかしながら、訴訟される相手そのものが日本の法人ということになるため、米国での訴訟に本店が巻き込まれる、また、最悪の場合は日本の本店の資産にまで損害賠償の追及がおよんでしまうなどのリスクがあります。法人税については連邦政府及び州の納税が必要となります。

 

 

2. 現地法人の場合

現地法人の場合、比較的多い設立形態は、Corporation とLLC:Limited Liability Corporationとなるのではないでしょうか。Corporationは日本の株式会社に相当し、LLCは日本の合同会社に相当する企業形態となります。いずれも米国法人であるために、米国での訴訟のリスクが日本の親会社におよぶ可能性は低くなります。

 

 

Corporationの場合
米国法人の利益は米国で法人所得税の対象となります。日本の親会社に税引後利益を配当することで、日本に利益還元することができますが、配当が米国源泉所得となるため、日米租税条約を使うなどの方法で、米国での課税を軽減するということになります。これがいわゆる二重課税と呼ばれているものです。

 

Corporationの利益→課税→株主への配当→課税、と同じCorporationの利益に2度の課税がされます。

 

この場合のCorporation は、税法上S Corporation と区別してC Corporation と呼ばれますが、これは米国の内国歳入法(IRC: Internal Revenue Code)のSubchapter Cで課税されるCorporation ということで、税法的にはC Corporation と呼ばれます。同様に、S Corporation は、内国歳入法のSubchapter S で規定されています。

 

 

LLCの場合
Corporation としての法人所得税の課税方式を選ばない場合、パススルーと呼ばれている法人所得税の課税方式が適用されます。この場合、連邦法人所得税や州法人所得税の課税がLLCに対し行われない代わりに、 株主に相当するLLCのメンバーに課税がされるということで、前述の二重課税を回避することが可能となります。

 

LLCの利益→非課税→LLCメンバー(株主に相当)へパススルー→課税、と課税が1度で済みます。

 

ただし、日本の税法上パススルー課税方式が認められていないため、日米間での税法の違いによる弊害(例えば、課税所得認識時期が日米で異なるなど)が生じるため、日本法人が子会社現地法人を設立する場合には、あまり用いられていない方法のように思われます。設立形態は、LLCでありながら、Corporation と同じ所得税の課税方式を選択するということも可能となります。

 

日本の親会社が米国にLLCの子会社を設立することには弊害がありますが、米国にホールディング・カンパニー(C Corporation)の子会社を設立し、孫会社をLLCとすることによりLLCの利点を生かせる場合があります。例えば米国内にレストラン事業を展開させるときにレストランごとにLLCを設立し、他のレストランへの訴訟リスクの影響を回避することが可能となります。この場合、ホールディング・カンパニーに孫会社の利益がパススルーされ二重課税を回避することが可能となります。

 

Corporation としての課税やパススルー課税方式は、法人所得税の課税方式についてのみの話であり、会社法上の法人格や、その他の税金(売上税、給与税など)に対しては、パススルーの概念の適用はありません。
また補足ですが、Corporation やLLCは、所得税法上パススルー課税方式であるS Corporation としての取り扱いが可能ではありますが、S Corporation の株主には、米国非居住者、会社が株主になることができないため、日本の法人が米国に子会社を設立する場合には、S Corporation の選択肢はないということになります。

**************

< 米国税制アップデート(連邦法人税) | IRSの税務調査マニュアルから >