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米国税制アップデート(連邦法人税) 2017/03/04

会計税務情報2017年3月号
永野森田会計士事務所

米国税制アップデート(連邦法人税)

 

トランプ政権に交代してから早くも3ヶ月が経過した。”Make America Great Again”を掲げる同政権の公約経済政策のひとつは法人税改革だが、果たして法人税を「15%」まで引き下げられるかどうかが注目される。これらトランプ・タックスの本格的な影響は来年以後となり、2016年度の法人税は引続きオバマ政権からの税制プランの延長である。海外資金流出の開示、減価償却の特例の延長、提出期限の延長などが主な変更点となる。以下、日系企業にとっての関心事まとめてみよう。

 

 

1. 法人税の提出期限・延長期限の変更

 

2016年以後のForm 1120の法人申告期限は、1ヶ月遅れの決算後4ヶ月目の15日に延期された。ただし、6月30日決算の法人についてのみ、従来通り決算後3ヶ月目の15日のままである。そして延長期間(Form 7004にて申請)原則6ヶ月延長だが、6月30日決算のみ7ヶ月延長となった。これにより、Form 7004による延長期間を合わせるとすべての決算年度において10ヶ月目の15日(従来は9ヶ月目の15日)までが法人税の最終提出期限となる。 

 

Corporate Tax Scheduleの2パターン>

All Year Ends except June Year End
例:12/31/16 + 3.5 months <Due>4/15/17 + 6 months <Extension> → <Final Due>10/15/17
例: 3/31/17 + 3.5 months <Due>7/15/17 + 6 months <Extension> → <Final Due> 1/15/18

June Year End
例: 6/30/17 + 2.5 months <Due>9/15/17 + 7 months <Extension> → <Final Due> 4/15/18

 

 

2. 海外支払の源泉徴収報告書(Form 1042/1042-S)書式変更

 

2016年度中、米国を源泉とする利子、配当等の所謂FDAP(Fixed, Determinable, Annual, Periodical) Incomeを海外に向けて支払った場合、源泉税を徴収、その米国源泉徴収者がForm 1042および1042-Sを翌年(2017年)3月15日まで申告する義務を負っている。

従来フォームに比べ、2016年版では、記載項目が増えた。即ち、従来は、1ページだった1042は2ページになりChapter 3項目とChapter 4項目の開示義務が増えている点に留意したい。Chapter 3は、従来からのFDAPの分類項目であるが、Chapter 4は、2010年のFATCA(Foreign Account Tax Compliance Act)に基づく海外金融機関に対する米国籍口座開示義務に関する分類である。FFI (Foreign Financial Institution)などFACTAで定義する分類方式に従うことになる。

 

 

3. 50% Bonus Depreciation、固定資産の一括償却等

新規固定資産の取得年におけるBonus Depreciationは、行政の経済政策の要として用いられきた。オバマ政権はPATH ACT(オバマ税制改正)により、Bonus Depreciationを2019年まで延期している。具体的には、2015-2017年までは50%だが、2018 年は40%、2019年は30%と逓減する。したがって、50% Bonus Depreciationは、少なくとも2016年および2017年に利用できるようになった。

小額固定資産については、一括償却できるルール(De Minimis Safe Harbor for Tangle Property Regulations)の対象が拡大されていることも忘れてはならない。監査(Audit)を受けていない会社は、$2,500まで(前年$500)一括償却できるようになった。一方監査を受けた会社については、前年から変わらず$5,000までの一括償却が可能である。

 

 

4. 関連会社ローン支払利息の損金算入否認ルール(IRC 385)

 

一定の場合に借入金を資本とみなし、そこから派生する支払利子の損金算入を否認するEarning Stripping Ruleの最終IRC 385関連Regulationが、2016年10月に公表された。このルールによれば、米国子会社は日本親会社からの借入金について、真に借入金であることを証明(文書化)しなければいけないことになる。文書化の趣旨としては、Evidence of unconditional and binding obligation to make payments on fixed dates, evidence of rights of creditors, borrower’s ability to repay, conduct of debtor-creditor relations等に注目したい。

更に、この385条には、見做し資本取引条項が含まれており、この条項が発動されると金銭債務や負債的形式の有無に拘わらず、株式取引と見なされ、派生する支払い利息は配当扱いとなる。従来の不適格利息の控除繰り延べとは次元の異なった規制であることを認識しなければならない。

対象となる米国企業は、At least one member or related group of corporation is publically traded, or FS(single or consolidated) asset exceed $100 million or revenue exceed $50 millionとなっていることから、多くの日本からの進出企業が影響を受けるのは必至である。

なお文書化義務の適用日は2018年1月1日以後の発生する債務からとなった。文書化ルール対応のための準備期間が少しだけ用意されたことになる。

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