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ニューヨーク州およびニュージャージー州の税金諸事情 2014/04/04

会計税務情報2014年4月号

永野森田会計士事務所

 

ニューヨーク州およびニュージャージー州の税金諸事情

 

かくして今年のタックスシーズンは終了した。近年は、申告書のデータをインターネットで税務当局へ送信する電子申告が浸透している。それでかつてのように申告書提出期日の4月15日ぎりぎりに郵便局で並ぶ人々の長蛇の列を見かけることも少なくなった。テクノロジーの進化により、ひとつ季節の風物詩は消えつつある。さて今回は、複雑なニューヨーク州、ニュージャージー州に焦点をあてて個人タックスのトピックスについてまとめてみた。

 

1.ニューヨーク州、ニューヨーク市の多層化された税構造

 

米国所得税申告者は、普通は2つのフォームを提出している。ひとつは連邦向けをInternal Revenue Service (IRS)へ、もうひとつは州政府向けを州の税務当局へ提出している。連邦向けの申告書は、どこの州に住んでいても共通だが、州政府向けは各州政府が独自にルールを定めるため、州により特徴がある。

 

全米でも税率が最も高い州は、一般的にはニューヨーク州とカリフォルニア州と言われている。そのニューヨーク州の中でも、最も税率の高いと言われれるエリアが、金融の中心であるウォール街やミュージカルで有名なブロードウェイのあるマンハッタンとその周辺である。こちらは「ニューヨークシティ」とも呼ばれ、州税に加えて「市税(City Tax)」が課せられる。つまり、ニューヨーク州の税率は他州よりも高いだけではなく、ニューヨークシティではシティータックスが加算される。

 

更に「Metropolitan commuter transportation mobility tax」という税金も存在する。これは、マンハッタンとその周辺地域の公共交通機関に対する便益を享受していることを目的に科されている。また、不動産を所有している場合は、全米一高いといわれる固定資産税、あるいは賃貸の場合は「Rent tax」もかかってくる。家賃を払って借りている場合は、家賃に一定の税率を乗じた税金をニューヨーク市に納税する必要がある。

 

このような州や市では、税金を多く徴収しようとする場合、1)税率を高くする、2)税金を徴収する対象を広げる、という手法を取る傾向が見られる。一方、少し変わった方法でより多くの税金を徴収しようとする州がある。ハドソン川を挟んでマンハッタンの西側に隣接するニュージャージー州である。

 

2.ニュージャージー州の調整された総所得額

 

ニュージャージー州の申告書の手引きを見ると、冒頭に「AVOIDING COMMON MISTAKES」というページがある。注意するべき箇所である。そこには「Use “State wages” figure of your W-2, not Federal wages figure.」と記載される。もちろん「 W-2」とは、毎年1月になると雇用主より送付される源泉徴収表のことである。先のニュージャージー州の申告書の手引きにある注意書きは、ニュージャージー州の申告書には、Form  W-2における連邦向けの総所得額ではなく、ニュージャージー州向けの総所得額を記載するようにとの注意書きである。

 

そこで疑問が生じる。連邦も州も、年間の総給与額ないし総所得額は同じ筈である。月給$5,000なら1年間の給与総額は $5,000 x 12ヶ月 = $60,000、つまりForm W-2には連邦向けも州向けも給与総額は$60,000と記載されるのが普通である。ところが、ニュージャージー州では、事情は異なる。Form W-2を見ると、連邦向けの給与総額よりもニュージャージー州向けの給与総額の方が多くなっているケースが多い。原因は以下の調整項目である。ニュージャージー州の申告書の手引きには;

 

New Jersey gross income also includes the following which are not subject to Federal income tax:

 

• Interest from obligations of states and their political subdivisions, other than New Jersey and its political subdivisions

• Income earned by a resident from foreign employment

• Certain contributions to pensions and tax-deferred annuities

• Employee contributions to Federal Thrift Savings Funds, 403(b), 457, SEP, or any other type of retirement plan other than 401(k) Plans

 

とある。連邦政府では課税されないが、ニュージャージー州では税金を徴収される項目がある。

 

また、次のように記載されている。

 

Retirement Plans.

Under New Jersey law, contributions to retirement plans (other than 401(k) Plans) are included in the State wages figure on the W-2 in the year the wages are earned. This may cause your State wages figure to be higher than your Federal wages figure.

 

連邦政府で認められている年金積立金の所得控除は、ニュージャージー州では認められていないのである。つまりニュージャージー州の従業員は、せっかく加入した年金積立金プラン(Simple IRA等)は、州レベルでは節税効果は全くないことに気付かされるのである。

 

また、連邦政府で認められている恩典の一つである医療費積立金などの所得控除も、同様にニュージャージー州では認められず、税金を課せられる。つまり連邦レベルでは非課税のカフェテリア・プランは、州レベルでは課税されるのである。

 

The New Jersey gross income tax law does not adopt the federal income tax treatment of cafeteria plans as provided under I.R.C. Section 125. (per NJ TB-39)

 

3.ニュージャージー州の高い遺産税率、相続税率

 

それから、ニュージャージー州は通称「Death Tax」が高いことでも有名である。アメリカでは通常、遺産相続の際には、連邦税が課せられるが、約4分の3の州では遺産税(Estate Tax)はかからない。しかし、ニュージャージー州を含む14の州では遺産税がかかる。ニュージャージー州は税率が16%と2番目に高く、かつ、税金を徴収しない遺産額の上限が$675,000と、14の州の中で最も低い州である。遺産額が$5,250,000以下なら連邦税はかからないので、例えば、遺産額が$1,675,000なら、連邦税はかからないものの、ニュージャージー州へは控除を超える金額に対して税金はかかってくる。($1,675,000 - $675,000 = $1,000,000に対して課税)

 

 

また、全米のうち7つの州で逆に相続税(Inheritance Tax)がかかる。ニュージャージー州は相続税率が16%と2番目に高く、かつ税金を徴収しない相続額の上限がゼロとなっている。つまり、相続が発生したらたとえ相続額がわずかであっても、必ず相続された側が税金を支払わなければならない。

 

原則として、遺産税は、死亡した被相続人に納税義務がかかってくるのに対して、相続税は、逆に財産を取得した相続人に納税義務がかかってくる。ちなみに州レベルにおける遺産税(Estate Tax)と相続税(Inheritance Tax)の両方があるのは、全米51州の中で、ニュージャージー州とメリーランド州の2州のみである。

 

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