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    会計の黒舟来襲!~IFRSを巡る日米の動向を切る (1)

    会計税務情報2010年3月号
    永野森田会計士事務所


    会計の黒舟来襲!~IFRSをめぐる日米の動向を切る (1)


    今、世界中をIFRS(国際財務報告基準)が席巻している。欧州では2005年から、上場企業に強制適用されており、現在世界では、100以上の国や地域が採用済みか採用方針を示している。一方日本では、「会計の黒舟来襲」と週刊誌などでは騒がれており、IFRSに関する書籍やセミナーが目立っている。今月号では、世界の主要経済国のなかでIFRSについて未開拓であった米国及び日本の動きについて、要約してみた。


    1. 米国


    2002年において、米国会計基準をつくる財務会計基準審議会(FASB)と、IFRSの総本山、国際会計基準審議会(IASB)が、両基準を将来的にコンバージェンス(収斂)することで合意している(ノーウォーク合意)。これには米国にしてみれば、IFRSで覇権を握ろうとする欧州連合に対して牽制する意図があったと見られている。


    しかし、2006年には、FASBとIASBは統合を加速させるため、覚書(MOU)を締結するに至る。翌2007年には、米国の規制当局である証券取引委員会(SEC)が海外企業に初めてIFRSによる財務諸表を認め、急展開する。そして2008年、米国はIFRSを2014年から段階適用する「SECロードマップ案」を打ち出し、強制適用(アドプション)へ舵を取った。


    コンバージョンズ案では、基本的にはUSGAAP、IFRSの主体性を尊重し、その中身を収斂(しゅうれん)させるゆっくりとした段階を経るプランであった一方、アドプション案では、基本的には会計基準をIFRSに乗り換えさせるという短期的・強引なプランである。


    <米国におけるIFRS採用計画>


    2009年12月期   任意適用開始
    2011年        SEC強制適用の採否
    2012~14年     準備期間
    2014~16年     3段階に分けSEC強制適用(IFRS アドプション)


    上記が米国におけるIFRS採用のSECロードマップである。今後米国がIASBへの影響力を強めて米国主導にしてしまうと見る専門家がいる一方、IFRSアドプションに慎重な民主党政権に変わったことで予断は許さないと指摘する声もある。


    2. 日本


    欧米での激しい会計基準争いの影で、日本の存在感は一貫して薄かった。ようやく動き出した2007年には、日本の会計基準設定主体である企業会計基準委員会(ASBJ)が、IASBとコンバージェンスについて東京合意を結んだ。


    そして2009年12月11日、金融庁はIFRSの任意適用についての内閣府令を公表した。IFRSを強制適用(アドプション)に先駆けて適用できる条件を示したほか、2010年3月31日以降に終了する事業年度からIFRSを適用できることを明確にした。


    <日本におけるIFRS採用計画>


    2010年3月期   任意適用開始
    2012年        強制適用の採否
    2013~15年     準備期間
    2015か16年     強制適用


    公表の内閣府令について具体的に見てみよう。


    正式名称は「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規制等の一部を改正する内閣府令」。ンイ日本におけるIFRSの強制適用は、上記のロードマップが示す様に2015年以降に始まるとみられている。今回、公布になった内閣府令は、その前に企業が自主的にIFRSを適用する任意適用の条件などを示したものである。


    内閣府令ではIFRSの早期適用について「すべてを満たす要件」と「いずれかを満たす要件」をそれぞれ三つ示している。


    「すべてを満たす要件」
    1) 発行する株式が、金融商品取引所に上場されている
    2) 有価証券報告書において、連結財務諸表の適正性を確保するための特段の取り組みにかかる記載を行っている
    3) 指定国際会計基準に関する十分な知識を有する役員または使用人を置いており、指定国際会計基準に基づいて連結財務諸表を適正に作成することができる体制を整備している


    「いずれかを満たす要件」
    1) 外国の法令に基づき、法令の定める期間ごとに国際会計基準に従って作成した企業内容等に関する開示書類を開示している
    2) 外国金融商品市場の規則に基づき、規則の定める期間ごとに国際会計基準に従って作成した企業内容等に関する開示書類を開示している
    3) 外国に資本金20億円以上の子会社を有してる


    金融庁は内閣府令と同時に任意適用する場合の「提出書類のイメージ」も公開している。日本の会計基準を採用している企業が2010年3月以降の末期からIFRSを適用する場合、2010年3月以降の末期のIFRSに基づいた財務諸表の他に、前期(2009年3月以降の末期)分の財政状態計算書(日本の「貸借対照表」に相当)、包括利益計算書(同「損益計算書」)、持分変動計算書、キャッシュフロー計算書を用意する。


    加えて、前期の期首時点の財政状態計算書や、日本の会計基準からIFRSに組み替えた際の調整表が必要になる。2010年3月以降の末期には、日本の会計基準に基づいた要約版の財務諸表の他、IFRSと日本の会計基準との差異の説明文書を添付する。ただし、これら要約版と差異の説明は、監査の対象外となる。  


    ようするに、会計における意欲的な世界制覇を目指した米国が、急速なIFRSアドプションへと傾倒していった結果、日本も重い腰を上げ、後手後手でありながら、IFRSへの取り組みをせざるを得なくなった、というのが正直な状況と言える。会計の黒舟来襲、と言われる所以である。


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    更新日: 2010年03月04日

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