会計税務情報 2009年10月号
永野森田会計士事務所
FIN 48 「法人税の不確実性に関する会計処理」の非公開会社への適用(1)
FASB(米国財務会計基準審議会)は、2009年9月2日においてAccounting Standard Update (ASU) NO. 2009-6 を発表した。その内容とは、Accounting Standard Codification 740(元FASB Interpretation No. 48の法典化)、いわゆる「法人税の不確実性に関する会計処理(以下FIN48)」の適用に関し、主に非公開会社、パス・スルー企業、非営利団体における具体的なガイドラインを設定したものである。すなわち、FIN48 は、2006年の施行以来、非公開会社への適用は二度延期されてきたが、今回の発表は、非公開会社への更なる延期はないとのメッセージを世に伝えたのである。よって、2008年12月15日以降の年度末決算書に対し、FIN48は非公開会社にも適用される見込みとなった。今月号は、このFIN48の非公開会社への適用について述べる。
1. ASU No.2009-6の内容
ASU No.2009-6では、非公開会社における「法人税の不確実性」の開示すべき内容を、公開会社の開示義務よりも若干緩和している。この「法人税の不確実性」とは、簡単に言えば、将来税務調査があった場合の追徴課税の影響である。今回の通達では、FIN 48 のパラグラフ20 (またはASC 740-10-50-15) で要求される(a)未認識タックス・ベネフィットの増減調整表、及び(b)未認識タックス・ベネフィットが実効税率に与える影響の可能性の開示を、非公開会社につき要求しないこととしている。したがって、非公開会社にについては以下の内容のみ開示しなければならないこととなった。
1) 法人税の不確実性による会計処理の適用により発生する負債(FIN 48 Liability)に伴う利息とペナルティーの金額の開示
2) 決算日以後12ヶ月間において未認識タックス・ベネフィットに重要な調整が見込まれる場合:
a) 不確実性の内容
b) 12ヶ月以内に起こる事項の説明
c) 調整される金額の見込まれる範囲
3) 税務当局による税務調査の入る可能な年度Open Yearを開示
これらにつき、以下の通り説明する。
1) 利息及びペナルティーの開示
FIN 48では、法人税の不確実性による利息とペナルティーの計上方法については、特別な規定はなかったため、Interest Expense、Other ExpenseもしくはIncome Tax Expenseのいずれでも計上できた。今回の通達では、その内容をNotesにて開示するとともに一貫性をもって計上することを原則としている。
2) 未認識タックス・ベネフィットの修正の開示
FIN 48では、計算された未認識タックス・ベネフィット、つまり将来税務調査の入った場合の影響額を、決算日より12ヶ月間以内に調整される可能性がある事項については、その開示を求めている。例えば、決算日2009年12月31日時点ですでに税務当局の調査が入っているとする。2010年中に調査が完了し、その結果、2010年12月31日決算日に計上する予定の未認識タックス・ベネフィットが調整される可能性ある場合には、その見積もり金額の範囲を開示すよう求められている。
3) Open Tax Yearの開示
決算日において”major”な税務当局(連邦・州または海外の税務局等)から、税務調査が今後入りうる年度“Open Tax Year”の開示を求めている。FIN 48では、過去におけるOpen Tax Yearに対しても未認識タックス・ベネフィットを、50%の確立基準において判定を求めているため、Open Yearの開示が求められている。また、適用初年度においては、過去のOpen Tax YearからのFIN48 Liabilityに対しては、期首の利益剰余金残高にて調整されることなる。
2. 事例
ある非公開会社が2008年までの決算においてUS$1,000,000のNOLがあり、それにより繰越税務資産はUS$400,000あった(実効税率40%とする)。すでに全額を評価引当金として、US$400,000のValuation Allowanceとして相殺していた。2009年中に以下のようなFIN48スタディーを行った。
Uncertain Disallowed Individual Cumulative
Tax Position-NOL NOL Probability % Probability %
$1,000,000 $0 0% 0%
$900,000 $100,000 15% 15%
$800,000 $200,000 30% 45%
$700,000 $300,000 10% 55%
$600,000 $400,000 15% 70%
FIN48 スタディーにおけるUncertain tax position(このケースではNOLの損金利用可能性)のMeasurement(算定)としては、Cumulative probability(累積確率)が、50%を超えた時点での金額を認識する。ここでは、$700,000までのNOLがRealizeされるものと認識した上、残りの$300,000 の税効果$120,000($300,00 x 40%)を未確認タックス・ベネフィットとし、FIN 48 Liabilityを計上する。
(Dr) Beginning - Retained Earnings (1/1/2009) $120,000
(Cr) FIN 48 Liabilities (Non-current) $(120,000)
(Dr) Valuation Allowance $120,000
(Cr) Retained earning $(120,000)
さらに、$120,000の未認識タックス・ベネフィット(予想追徴課税)より、利息$10,000を見込み計上する。
(Dr) Interest Expense (or Income tax exp) $10,000
(Cr) Accrued Interest $(10,000)
(Dr) Deferred income tax asset*** $4,000
(Cr) Beginning – Retained Earnings (1/1/2009) $(4,000)
***未払い 利息の計上により繰越税務資産が発生
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更新日: 2009年10月05日



