会計税務情報2009年8月号
永野森田会計士事務所
減損会計SFAS144*について(1)
長期化する米国景気後退の影響により、多くの現地日系企業は資産や部営業部門の売却、閉鎖など企業リストラクチャリングを考慮せざるを得ない状況に陥っている。企業として生き残りを掛ける際に大胆な試作を行なうことは当然であり、その後の会計処理についても考慮される必要がある。今月と来月にかけては、そうした状況下における減損会計(SFAS144*: Accounting for the Impairment or Disposal of Long-Lived Assets)についての概説を行なう。
1. 減損会計の分類
米国における減損会計処理の考え方としては、固定資産(long-lived assets)および非継続事業(discontinued operation)に対する減損の考え方が並存してきた。この2つの会計処理は別々の基準として存在してきたが、2001年8月施行のSFAS 121により一つの基準として統合された後、最終修正規則SFAS144を経て今日に至っている。以下、SFAS 144(脚注参照)における固定資産に対する減損処理適用の方法を説明する。
2. 継続保有される固定資産の減損チェック
1)第1ステップ
継続的に保有される固定資産(ないし固定資産グループ)おいて、減損の生じる可能性のある状況にあるか否かをまず確認する必要がある。例えば、類似資産の市場価格の急激な下落、固定資産の利用方法や頻度の悪化、訴訟勃発や経済状況の変化による固定資産の価値下落見込み、固定資産の維持にかかる予想外の現金支出などが見受けられる場合には、固定資産の減損の可能性はあるものと判断される。
2) 第2ステップ
固定資産のもたらす将来キャッシュフローを計算するとともに、その合計金額が簿価を下回らないかどうかを確認する。将来キャッシュフローを計算する際、その資産の利用によりもたらされると予想されるキャッシュ、および資産の売却時の予想キャッシュの合計額を以下の事例に示す方法で計算する。
<事例>
固定資産簿価:$50,000
将来キャッシュフロー計算
キャッシュ獲得貢献度 予想売却額 合計 比率
1年後売却(可能性60%) $10,000 $20,000 $30,000 40% $12,000
$20,000 $25,000 $45,000 60% $27,000
合計 $39,000 (a)
3年後売却(可能性40%) $40,000 $2,000 $42,000 50% $21,000
$50,000 $5,000 $55,000 50% $27,500
合計 $48,500 (b)
1年後売却:(a) 39,000 x 60% = $23,400
3年後売却;(b) 48,000 x 40% =$19,400
合計 $42,900
簿価 $50,000 > 将来キャッシュフロー $42,000 ⇒ 減損発生認識
3) 第3ステップ
将来キャッシュフローにより減損の発生が確認されれば、今度は、Fair Market Valueと簿価との差額により、実際の減損額は計算される。SFAS144では、市場からの見積もりなどを使い、市場価格を求めることが望ましいとしている。Fair Market Valueがなければ、将来キャッシュフローの現在価値と簿価の比較により、減損額を計算することとしている。
3. 除去・売却される固定資産
固定資産が除去又は売却が決まった場合においても、基本的には上記と同じ減損チェックに服する。
更に、売却が決まった固定資産 (long-lived assets held for sale)の資産については、次の条件を満たす場合、財務諸表上、別表示しなければならない。
a) 当該固定資産(ないし固定資産グループ)は現在のコンディションにおいて売却される予定であり、通常の取引条件が課されていること。
b) 当該固定資産の売買取引は1年以内に成立する可能性が高い(sale of asset is probable)こと。
以上、固定資産(long-lived assets)の減損会計のポイント説明である。次月号においては、非継続事業(discontinued operations)の減損会計について述べることとする。
脚注:
*2009年7月1日より、FASB管轄の会計原則は、すべてFASB Accounting Standard Codification (FASC))へ移行している。その結果、旧SFAS144の新FASCにおけるの参照条項 は、360-10-45-3 (Held-For-Use)並びに 360-10-45-9 (Held-For-Sale)となった。
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更新日: 2009年08月03日



