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    米国不動産投資-不動産売却益課税の繰り延べ制度(IRC 1031)について

    会計税務情報2008年12月号
    永野森田会計士事務所


    米国不動産投資-不動産売却益課税の繰り延べ制度(IRC 1031)について


    米国証券第4位のリーマン・プラザーズの経営破綻は、記憶に新しいところである。その破綻原因の一つとしては、サブプライムローンの損失があったといわれている。サブプライムローンの焦げ付きにより、米国住宅市場には、競売物件が増え、住宅価格もここ数年下落しているとのことである。このような状況下で、米国不動産投資に関する関心も高まり質問も多くなっている。今月号は、一昔前にベストセラーになったロバート・キヨサキさんの名著 『金持ち父さん 貧乏父さん』 でも紹介された不動産売却益課税の繰り延べ制度(IRC Section1031)について概説する。


    1. 日本人(米税務上非居住者扱い)が米国不動産物件を購入した場合の税務申告義務


    (1) 賃貸収入がある場合: 一般的に、日本の投資家が米国不動産を購入し、賃貸に出した場合、その賃貸収入は、米国源泉所得とみなされ30%の源泉徴収をしてもらうか、自ら税務申告をする必要がある。前者は、面倒な申告手続きを省くという簡便さと引き換えに、確実に税金を払わなければならないという犠牲が伴う。それに対し、後者は逆に、経費を集計したり、申告書を作成するといった手間を掛けることにより、確実に節税することが出来るという利点がある。


    (2) 不動産を売却した場合: 同上日本の投資家が、米国不動産を売却した場合、その売却損益は米国源泉所得とみなされ、自ら税務申告をする必要がある。これは、義務ではあるが、申告することにより、源泉された税金(通常売値の10%以上が源泉される)の一部が戻ってくる場合が多い。逆に、申告しなければ、例え源泉税が確定税額より多かったり、売却損になり、納税額がゼロであったとしても、源泉された税金が還付されることはない。


    2.  米国不動産売却益課税の繰り延べ制度(IRC Section1031)


    米国不動産を売却すると税務申告書上では、売却価額から購入価額その他の経費を差し引いた売却益に対しキャピタルゲイン税が課せられる。もちろん、このときに売却損が発生した場合は税金は発生しない。一方、連邦税法 IRC Section1031 によれば、事業目的または投資目的で保有されている資産と同種の資産を買い換えることにより、利益や損失を認識しないと規定している。


    IRC Section1031適用のルール


    (1) 物件の種類: 売却する物件も新たに購入する物件も下記①か②の種類の不動産でなければならない。


    ①納税者のビジネスを運営する目的で使用する不動産
    ②投資目的で保有される不動産(長期で保有する場合)


    (2) 適用条件: Section1031を適用するには以下の条件を満たさなければならない。


    ①買い換えにより取得する物件は、売却する物件の価格と同等かそれより高額であること。
    ②売却によって発生した資金は、資格のある仲介業者(エスクロー等)が取り扱わなければならない。オーナー本人が受取ると課税取引になる。
    ③売却価額は全額、新たに購入する物件に充当しなければならない。
    ④買い換えにより取得する物件は、売却した物件と同額以上の負債を負っていなければならない。
    ⑤売却してから45日以内に、買い換える物件のリストを作り、売却してから180日以内に、買い換えを終了する必要がある。但し、もし売却した物件の税務申告の期限が、これより早い場合にはこちらが買い換えの期限となる。


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    更新日: 2008年12月08日

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