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    米国税法における会社分割

    会計税務情報2008年11月号
    永野森田会計士事務所


    米国税法における会社分割


    米国における景気後退が色濃く増していく中、企業は再生に向けての様々な努力が求められている。再生への手がかりとして、会社分割(Corporate Division)という手法がある。米国における会社分割は、企業の組織変更の一場面として、又は不採算事業を切り捨て、採算事業に特化するという経営戦略の一環として行なわれている。会社分割によって身軽になった後は、買収・再編の対象になりやすく、自社の価値を高める結果になることが多いと指摘されている。今回は、内国歳入法355条‘Distribution of Stock and Securities of a Controlled Corporation’に記載されている非課税の会社分割の方法と、付随する幾つかの条件を記し、どのような枠組みに応じて為されるかを考察する。


    米国税法における非課税の会社分割の取扱いは、親会社株主への新規発行の子会社株式の分配方法に応じて、以下に分類される。これらに該当した場合、原則として、取引により発生したGainまたはLossは、株主側および法人側においても、税務上認識されないことなる。


    1) スピン・オフ(Spin-off)


    5年以上の事業年数を有する米国親会社が、新設される米国子会社に事業用資産の一部を移転して、新設子会社は新規発行株式を米国親会社に分配する。米国親会社は親会社株主A及びBからの保有比率に応じて、新設子会社の株式を分配する。


                             [Spin-off]


    <<<<<<<<<<親会社株主 A>>>>>>>>>>   <<<<<<<<<<親会社株主 B>>>>>>>>>>
    ↓51%出資 ↑51%新規発行株式を分配*    ↓49%出資 ↑49%新規発行株式を分配*
        <<<<<<<<<<<<<<<<<<<<米国親会社>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>
                   ↓80%以上の出資 ↑新規発行株式
                  <<<<<<<<<新設米国子会社>>>>>>>>


    * 子会社株式の親会社株主A及びBへの分配比率は、米国親会社への出資比率に応じて為される。


    2) スピリット・オフ(Split-off)


    米国親会社が、新設子会社株式を親会社株主A及びBへ分配する際、親会社株主側は、逆に一部持株分を親会社へ償還する場合である。親会社株主側は、新設子会社の株式を親会社への出資比率に応じないで分配を受けることは出来るが、相当する比率で親会社株の親会社への償還を行う必要がある。


                             [Split-off]


    <<<<<<<<<<親会社株主 A>>>>>>>>>>   <<<<<<<<<<親会社株主 B>>>>>>>>>>
    ↓51%出資↑新株分配**↓親株一部償還   ↓49%出資↑新株分配**↓親株一部償還
        <<<<<<<<<<<<<<<<<<<<米国親会社>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>
                   ↓80%以上の出資 ↑新規発行株式
                  <<<<<<<<<新設米国子会社>>>>>>>>


    ** 子会社株式の親会社株主A及びBへの分配比率は、米国親会社への出資比率とは異なっても良い


    3) スピリット・アップ(Split –up)


    米国親会社は、2社以上の新設米国子会社に事業用資産を移転して、それら新規発行株式を、親会社株主に分配した上、親会社株主側は持株を全て償還し、親会社を清算するという方法である。


                             [Split-up]


    <<<<<<<<<<親会社株主 A>>>>>>>>>>   <<<<<<<<<<親会社株主 B>>>>>>>>>>
    ↓51%出資↑新株分配↓親株全部償還     ↓49%出資↑新株分配↓親株全部償還
        <<<<<<<<<<<<<<<<<<<<米国親会社(清算)>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>
    ↓80%以上の出資 ↑株式の新規発行     ↓80%以上の出資 ↑株式の新規発行
    <<<<<<<<新設米国子会社 I >>>>>>>      <<<<<<<新設米国子会社 II>>>>>>>


    以上、内国歳入法355条による会社分割の非課税扱いを受けるためには、次の条件をすべて満たさなければならないことになっている。


    ・米国親会社が、親会社株主A及びBに分配する株式は、分配直前に米国親会社の80%以上所有する新設子会社の株式でなければならない。具体的には、米国親会社は少なくとも新設子会社の80%の議決権と、少なくとも各種無議決権株式を保有していなければならない。(Control)
    ・米国親会社は、全ての新設子会社の株式を分配するか、新設子会社の支配に十分な量の株式を分配し、かつ、新設子会社の株式を米国親会社に保有する理由が、関連会社間の利益の分割を主目的としたものや、租税回避が目的であってはならない(cannot be primarily a tax-avoidance devise)。
    ・親会社株主A及びBは、分割後は米国親会社もしくは新設子会社の支配を継続していなければならない。しかし、分割前の持分と同率でなくとも良い。
    ・5年間の事業活動の条件が満たされなければならない(Active Trade or Business)。分割直後の事業に適用される。株式の分配後に米国親会社又は新設子会社で行われる各事業は同時に、(i)分配前の5年間に継続的に積極的に行われていなければならず、かつ(ii) 分配前の5年間に課税取引で取得されたものであってはならず、しかも、(iii)分配前の5年間に、親会社株主A及びBは、課税取引に基づいて支配権を獲得した会社によって行われたものであってはならない。
    ・会社分割は正当な事業上の目的によって行われたものでなければならない(valid business purpose)。
    ・会社分割の行われた日の前後2年以内に、米国親会社または新設子会社の議決権、もしくは株式価値の50%以上が一人以上の者に所得される場合は、上記他の要件を満たす場合であっても、課税取引として取り扱われ、分配直前に利益認識しなければならない(Continuity of Interest)。


    上記要件は、個々として考慮されることは勿論、複合的な補完関係にもある。判定は事実関係(Fact and Circumstances)に拠るところが多く、一般的にはIRSとの事前協議を経て行わられる。よって、個別の案件は専門家に問い合わせ頂くの望ましいものと考える。


    **********

    更新日: 2008年11月05日

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