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    米国大統領候補の税制改革案比較

    会計税務情報2008 年10 月号
    永野森田会計士事務所


    米国大統領候補の税制改革案比較


    今号では、民主党オバマ候補と共和党マケイン候補の政策提案のうち、税制改革案に焦点を当て比較してみる。米国の金融市場の混乱により、本来両者の立場が明確に違うはずの税制でも、両者の主張が多少トーンダウンして近づいてきたものの、依然としてどちらかの候補が当選するかによって税務に与える影響は小さくは無い。最近の各党のプレスリリース、米国シンクタンクの試算等から下記の様な対比が読み取れる。


    1. オバマ候補の税制改革案


    オバマ候補は、高所得層には増税、中低所得層には減税を行い、税制の累進性を高めるよう提案してきた。(高額所得層の区分は、年収25 万ドル以上の夫婦世帯、年収20 万ドル以上の単身世帯としている)これは、現在の米国経済の大きな問題点の1つは、中間所得層に自由に使える収入が少ないことである、という考えに基づいている。


    提案の例として、勤労家族を対象とした還付可能なMaking Work Pay Credit という税額控除を新設する事により、$8,100 までの所得に対する所得税が相殺されるという案がある。配当・キャピタルゲイン税については、高額所得者には最高税率20%(現行15%)を適用する方針だが、中低所得層には、所得税・キャピタルゲイン税・配当税・社会保険税を含め、いかなる増税もしないとしている。又、年収$50,000 以下の高齢者は所得税の申告を免除されるとしている。(当初は、高額所得層に対するキャピタルゲイン最高税率を28%、社会保険FICA 税を増税すると提言していたが、これらは見送りとなった)


    オバマ陣営は、全体としてマケイン候補の提案よりも大幅な減税案になると見込んでいるが、本質は減税項目と増税項目を再編成した「税負担の再配分」と言える。キャピタルゲイン税率の変更だけでも、1,000 億ドルの税収増加が見込まれると試算されている。


    2. マケイン候補の税制改革案


    対照的にマケイン候補は税制改革の狙いを経済成長の促進に定め、所得税・法人税の税率を低く抑えるべきだと主張している。法人の最高税率を35%から25%に引き下げる事を公約の一つとしていることがその顕著な例である。


    夏季のガソリン税減税、税制の簡素化、富裕層だけでなく中間層も課税の対象になりつつある代替ミニマム税(AMT)の段階的廃止等も提言している。ガソリン税減税については、5 月下旬のMemorial day から9 月上旬のLabor day まで、ガソリン・軽油に対する連邦税を停止することを提案した。その他、学生ローン向けの優遇措置、扶養家族の人的控除の$3,500 から$7,000 への倍増や、社会保険税のうちMedicare(高齢者向け医療保険)の予算拡大も提案している。Medicare については、夫婦で16 万ドル以上の所得がある世帯に負担増を求めている。


    ガソリン税減税の予想総額は80 億~100 億ドル。今回提案した減税の予想総額は総額1,950 億ドルとなるが、マケイン陣営は歳出削減や課税逃れの防止、「景気拡大に伴う税収増加」で対応できると説明している。


    ちなみに、副大統領候補に指名され、最近話題を呼んでいるサラ・ペイリン アラスカ州知事は、昨年11 月にアラスカ州において法人税の増税法案を成立させたが、これは石油企業を対象としており、かつ国税と州税の課税スタンスは別物なので、ペイリン知事の起用がマケイン候補の税制改革案に対して影響を与える事は無いと思われる。


    3. 主な税制改革案の比較(9/12 時点)


    ●個人税率


    オバマ候補
    ⇒10%, 15%, 25%, 28%は維持。33%を36%、35%を39.6%。年収$50,000 以下の高齢者の所得税免除。


    マケイン候補
    ⇒扶養者控除額を段階的に$3,500~$7,000 まで増加。


    ●法人税率


    オバマ候補
    ⇒変更無し。


    マケイン候補
    ⇒最高税率を35%から25%に。


    ●キャピタルゲイン・配当


    オバマ候補
    ⇒15%から20%に増加。


    マケイン候補
    ⇒変更無し。


    ●遺産税率


    オバマ候補
    ⇒500 万ドル以上には15%(夫婦合算申告は1,000万ドル) 。※現行200 万ドル以上に45%。


    マケイン候補
    ⇒350 万ドル以上には45%(夫婦合算申告は700万ドル)。


    ●代替ミニマム税


    オバマ候補
    ⇒変更無し。


    マケイン候補
    ⇒段階的廃止。2013 年以降exemption を5%づつ増加。


    ●その他


    オバマ候補
    ⇒還付可能な税額控除Making Work Pay Credit 新設、一世帯$1,000までを$8,100までの所得に対する所得税と相殺可。還付可能な子供扶養者税額控除を一人$1,500 に。


    マケイン候補
    ⇒夏季ガソリン税の停止。国内生産活動控除の廃止。耐用年数3、5 年設備の初年度控除。還付可能ヘルスケア税額控除の新設。

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    更新日: 2008年10月08日

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