会計税務情報2008年1月号
永野森田会計士事務所
米国におけるビジネス評価基準第一号概説(SSVS1)
米国ではビジネスの売買が日常茶飯事で行われている。ビジネス売買に当っては、まずそのビジネスの正当な価値を評価しなければ、交渉は先に進まないものである。そのビジネスの評価をするのは、通常会計士の仕事と考えられている。然し、意外なことにこの分野は未整備であり、これまで会計士が依拠することの出来る一般評価基準はなかった。かかる状況から、AICPA(米国公認会計士協会)では、2003年からこれに関する一般基準作りに着手しており、ようやくその第一号が2008年1月1日から発効されることになった。そして、2008年以降に締結される評価業務契約から適用開始となる。今月は、この米国におけるビジネス評価基準の第一号について概説する。
1, ビジネス評価基準(Statement on Standards for Valuation Services)一号(以下”SSVS1”)の枠組
SSVS1ではまず、多様なニーズから生じるビジネス上の評価契約を分類し、それぞれについて、標準報告様式と特定情報の開示を義務づけている。さらに、ビジネスの評価方法について様々な評価方法論の中から幾つかを選び、公認方法論を採っている。
(1) 評価契約の分類
•計算契約(Calculation Engagement)
•基本契約(Valuation Engagement)
(2) 報告書の分類(下段にて説明)
•計算報告書(Valuation Calculation Report)
•簡便報告書(Valuation Summary Report)、
• 基本報告書(Valuation Detailed Report)
(3) 公認方法論(Acceptable approaches)
•収益法(The income approach - Capitalization of earnings, Discounted cash flows)
•市場比較法(The market approach)
•清算法(The asset-based approach)
•原価法(The cost approach)
2, 報告書の種類と開示内容
(1) 計算報告書(Valuation Calculation Report)
会計士と依頼人の間で自由に評価方法とその手順を確定するとともに、その合意内容に沿った評価計算契約に則った評価計算を報告するものである。計算結果は、絶対額か又は一定の数値幅として表示される。当該報告書に記載されなければならない11の開示項目の内、主要なものは次の通りである。
•評価対象資産の説明
•仮説の説明
•条件並びに制限
•報告書作成に当り参照したスペシャリストの意見及び会計士の意見形成への影響度合
•後発事象
(2) 簡便報告書(Valuation Summary Report)
SSVS1基本契約書内容に沿って作成された評価結果を要約して報告するものである。当該報告書に記載れなければならない開示項目として、23項目が指定されている。
(3) 基本報告書(Valuation Detailed Report)
SSVS1基本契約書内容に沿って作成された評価結果の詳細を報告するものである。当該報告書に記載されなければならない開示項目として、14項目が指定されている。
以上、ビジネス価値を評価する上で、会計士に課せられた新たな規制の登場とも言える。本来、この基準の目指すところは、幾つかの報告形式に統一することにより、利用者により有益な情報を提供すると同時に、報告書を形式化することにより、会計士の責任を明確にすることを試みたものと解釈すべきである。
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更新日: 2008年01月08日



