会計税務情報2007年9月号
永野森田会計士事務所
国際財務報告基準(IFRS)の概説(6)~リース会計と税効果会計
会計は大きな転換期を迎えている。日本の大企業に限らず、日米欧の経済活動範囲は地球レベルで展開されており、研究開発や生産、運輸そして販売の国際化と軌を一にして資金調達が国境の枠を越えて活発に展開されるという流れがその背景にある。結果として、日米欧の会計方法は、独自の立場を主張しつつも、統一基準に収斂しつつあり、近い将来において、この共通基準としての国際会計基準の採用を余儀なくされることと考えられる。本稿においては、数回に分けて、米国基準と対比する形で、国際財務報告基準(International Financial Reporting Standard-International Accounting Standards Boardによって策定された会計基準の総称)を考察することにする。今月は、リース会計および税効果会計について、両基準の間の相違に注目する。
A リース会計
IFRS でも リースはファイナンスリース(キャピタルリース)とオペレーテイングリースに分類されることについては、米国基準と同じである。然し、分類の基準には顕著な相違が認められる。USGAAPでは、次の何れかの条件が当てはまれば、キャピタルリースとなる。
1. リース期間終了後の所有権移転又はバーゲン•パーチェス•オプションの存在。
2. リース期間が経済耐用年数の75%を超えている事。
3. 全期間に亘って支払い予定のリース料の現在価値合計額は、リース資産の市場価値の90%を超えている事。
それに対し、IFRSにおけるファイナンスリース(キャピタルリース)では、所有権に付与されているリスク並びに利益を実質的に全て享受できる事を条件としており、USGAAP程客観的な数量化は認められない。次の事象は、その条件充足を示唆しているとみなされるので、一つの手掛かりとなる。
1. リース期間終了後の所有権移転又はバーゲン•パーチェス•オプションの存在。
2. リース期間が経済耐用年数の過半数に達し、中途解約不可の契約で当初より契約期間終了後もリース延長が合理的に見込まれている事。
3. リース期間内の支払いリース料の現在価値が、リース資産の市場価値にほぼ等しいこと。ここで言うリース料には、リース期間終了後の買取が確実と見込まれる場合には、その買取価格も含める。
4. 特殊な目的に供される為、その使用に当っては大掛かりな改造を必要とするリース資産。
B 税効果会計
IFRS、USGAAPでは共に、会計と税務の一時差異を克服する概念として、税金資産並びに税金負債を認識する点では一致している。しかし、内容的には未だ乖離があり、統一化の為には互いの歩み寄りが必要である。
1. 税金資産は、会計が過去の金銭取引を処理したり、それを現在の市場価格との比較を行う(低価法)のみに止まらず、更に将来の予測にまで踏み込んでいる点においては、会計分野としては異色な存在である。当然ながら、将来の発生可能性が資産性認識の鍵を握ることになるが、USGAAPは(More Likely Than Not)即ち、将来起りうる可能性と起らない可能性を比較して可能性の高い方(即ち50%超)を判定基準とする。これに対し、IFRSはハードルが高く、Probable基準を採用している。数量的表現としては、これは70-80%以上の実現可能性を意味するものと解釈される。
2. 形式面に於いては、US GAAPが評価引当金勘定(Valuation Allowance)で実現の可能性を調節するのに対し、IFRSは、これを採用していない。
3. 更に、US GAAPでは、税金資産、負債共に短期と長期に分類するのに対し、IFRS下では、そうした分類をしない。
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更新日: 2007年09月05日



