会計税務情報2007年7月号
永野森田会計士事務所
国際財務報告基準(IFRS)の概説(4)~連結と企業結合の会計
今、会計は大きな転換期を迎えている。日本の大企業に限らず、日米欧の経済活動範囲は地球レベルで展開されており、研究開発や生産、運輸そして販売の国際化と軌を一にして資金調達が国境の枠を越えて活発に展開されるという流れがその背景にある。結果として、日米欧の会計方法は、独自の立場を主張しつつも、統一基準に収斂しつつあり、近い将来において、この共通基準としての国際会計基準の採用を余儀なくされることと考えられる。本稿においては、数回に分けて、米国基準と対比する形で、国際財務報告基準(International Financial Reporting Standard-International Accounting Standards Boardによって策定された会計基準の総称)を考察することにする。今月は連結と企業結合にテーマとして取り扱うことにする。
A. 連結会計(Consolidation)の考え方
連結会計は、グループ内に存在する複数の企業を、1つの経済実態とみなして財務諸表を作成するなかでの会計処理である。連結会計は大まかに分類すると、連結の適用範囲、持分法の適用範囲、及び連結会計処理方法の三つの分野から構成されている。しかし、何れの分野においても国際基準と米国基準の間では、少数株主の扱いを除き、大きな違いは認められない。以下、各分野についての基本的概念を要約する。
1. 連結の適用範囲―国内及び国外の子会社(議決権の過半数を直接又は、間接的に所有することにより支配する事業体)並びに過半数を割り込んだ状態においても、他の企業との協定や法令、契約によって、又は取締役会を通して企業の経営方針を実質的に支配することが出来る事業体が含まれる。(会計税務情報2004年10月号、広がる連結対象会社の範囲―FIN 46 の意義をご参照)
2. 持分法(Equity Method)の適用範囲―連結も持分法も共に、親会社の子会社に対する持分を表示する会計手法である点については、同じである。ただし、前者(連結)は、グロス表示であるのに対し、後者(持分法)は投資勘定(Investment)としてネット表示である点にその基本的差異が認められる。その範囲は、一応議決権の20%で線引きするものの、重要な取引関係が存在するかどうかも含め、経営への重大な影響が認められる場合には、それ以下の場合も持分法の対象とする。
3. 連結財務諸表作成方法―①同一日付(決算日の差異3ヶ月以内可)の財務諸表で対応する勘定項目の合算②親会社の投資勘定と子会社の資本勘定を相殺③連結グループ内で生じた未実現利益の消去。
4. 少数株主(Minority Interest)の扱い―IFRS は、少数株主の持分についても資本勘定に含めるのに対し、US GAAPでは資本勘定から除外される。
B. 企業結合会計(Business Combination)の考え方
企業結合会計とは、吸収会社が被吸収会社の資産および負債を評価した上、吸収会社側で行う企業結合の会計処理である。この点、連結会計では、個別の会社(例えば、親会社と子会社)から離れ、全くの新しく1つの連結財務諸表を作成しており、連結とは性質が異なっている。
US GAAPで は、2001年にSFAS 141 を発表、企業結合会計におけるPooling法を廃止し、Purchase法のみを採用することにした(Purchase法では、被吸収会社の資産・負債を時価で評価する一方、Pooling法では、帳簿価格で評価する)。同じくIFRSもこれに追随する形で、Purchase法に統一している。従って、現在は、連結会計と同様に、企業結合においても、両者には基本的差異を認めない。(但し、全く差異が無い訳でもない。下記3.を御参照)以下は、基本概念の確認である。
1. 資産買収、株式買収の何れのケースにおいてもPurchase法によるところとなり、よって被結合資産並びに負債は時価で買収企業に引き継がれる。
2. 有形、無形資産の識別評価を行い、最後に暖簾(のれん-Goodwill)を算出する。暖簾は、償却の対象とはしないが、減損テストを行う。
3. 負(Credit側)の暖簾については、IFRSは発生時に一括収益処理する立場をとるのに対し、USGAAPでは、資産に比例配分して、これを資産から控除する立場を取っている。
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更新日: 2007年07月09日



