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    国際運輸業所得の米国における新しい申告義務

    会計税務情報2007年2月号
    永野森田会計士事務所


    国際運輸業所得の米国における新しい申告義務


    これまで手続きを経ずに免税されていた船舶業を含む国際運輸業は、米国税法の変更により、非課税措置を受けるためには、特別手続きを受けなければならなくなった。米国財務省最終規則第883号(以下、最終規則)の発効に伴い、国際運輸業を営む外国法人に米国における申告義務が課せられることとなったからである。これにより、米国に恒久的施設(Permanent Establishment)を有しておらず、米国内で事業所得のない法人であっても、所有する船舶が米国内の港に寄港している場合には、申告義務が発生することになった。日本法人のみならず、パナマ・リベリア等の「便宜置籍船国(船舶課税の優遇地域)」の法人も対象となる。最終規則は2004年9月24日以降から始まる事業年度に適用される。


    1. 最終規則発効の背景


     2004年米国雇用創出法により外国法人の国際運輸業所得がサブパートF所得(タックスヘイブン法人による留保利益-課税対象)から除外され、外国法人の国際運輸業所得は課税対象とならないこととなった。その結果、同業種の米国企業が相対的に不利になるのではないか、との懸念が各界から表明され、米国運輸業者の国際競争力強化という連邦議会の意図などとも相まって、今回の最終規則発効へと至った経緯がある。


    2. 開示報告義務の詳細


     非課税措置を受けるための要件としては、基礎情報として納税者に求められるものに加えて以下の諸項目について開示報告する義務がある。


    (1) 外交文書、租税条約等の根拠となる法的文書


     対象となる法人の設立国において、米国と同等の非課税措置が存在することを法的な文書により提示しなければならないことになった(Diplomatic Note)。ここで、租税条約のみが根拠となる場合には、原則的に最終規則の非課税措置の対象とはならないことになる。具体的には、Form 8833を提出し、利用する条約規定の恩典の内容を報告する。また、日米間においては、外交文書が存在するためForm8833は提出せず、Form 1120-Fの添付書類に外交文書を根拠とする旨だけを記載することになっている。


    (2) Stock Ownership Testの条件を満たすことを証明する株主情報


     申告義務者となる法人は、(a)米国と同等の免税措置を認めている国の居住者によって50%超保有されていること、あるいは(b)当該法人の株主が証券市場等で流通している場合には、その事実を証明する必要がある。
    (a) 上記判定に関わる適格株主は、その株式保有を証明するための所定の文書を作成し保管しておく必要がある。適格株主とは、米国との租税条約において相互免税措置が認められている国の居住者を指す。50%超保有の判定については、間接保有及びみなし保有等も含められる。最終株主に至るまでの中間的な株主についても、同様の義務が課せられている。
    (b) 株式保有関係の詳細を開示する必要がない代わりに、株式の種別毎に証券市場等で流通している事実を証明しなければならない。


    (3) 非課税措置の対象となる所得の分類および分類ごとの見積所得額


     対象となる国際運輸業から得た各分類ごとの所得は、審査対象となるため、対象となる所得の分類(船舶業収入の内訳)、および個々の見積所得を開示することが求められている。


    3. 結び


     このように最終規則は非課税措置を受けるための要件について詳細に規定している。これまでは申告・開示・報告義務のなかった外国法人及び関連企業に多くの負担を課すこととなった。不測のペナルティ等を避けるためには専門家のアドバイスを得るなどの十分な配慮が必要である。

    更新日: 2007年02月05日

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