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    時価会計への傾斜とSAS101 (その2)

    会計税務情報2006 年4 月号
    永野森田会計士事務所


    時価会計への傾斜とSAS101 (その2)


    前回は、時価会計の一例として棚卸資産を取り上げ、その評価法としての低価法について説明致しました。今回は、有形、無形の固定資産と時価会計との拘わり(固定資産の減損Impairmentof Long-lived Assets)について解説します。


    (1)長期固定資産に、何故減損会計が必要になるのか。


    機械や建物に代表される固定資産は、正規の減価償却を通して価値の減少を認識している。そこには継続企業としての仮定があり、固定資産取得後の未来が平坦な道のりであれば公正な価値を割り出す方法として有効である。然しながら、事業は予想外の事態に見舞われることが日常茶飯事であり、当初予定していた資本回収に困難を来たすような収益性や投資回収見込の変化にも対応出来ているとは言い難い。そうした問題意識に応えてFSBは1995 年にSFAS 121 を発表、特定の事象が生じた場合には、その時点の固定資産の公正価値及び当該将来のキャッシュフローを予測することを義務ずけることとした。FSB はその後、SFAS 121 を刷新しFAS144 を発表、今日に至っている。


    (2)SFAS 144 の要旨


    事業使用固定資産―簿価が市場価格を上回っている場合には減損状態に陥った可能性を認識し、当該資産から生まれる将来のキャッシュフローが簿価に達するかどうかのテストをしなければならない。キャッシュフローが簿価を超えていれば良し、仮に簿価に達しない時は、簿価と公正価値(Fair Value )との差を減損(Impairment Loss )処理することになる。但し、ここで用いられるキャッシュフローは、現在価値(Present Value)でなく、金利要因を考慮しないキャッシュフローの単純総額である。以上により、例えば、数期に亘り営業損失が続いている事業資産については、当該規則に沿った固定資産の再評価が不可避となった。


    計算事例―機械の取得価格$8 00,000 、累積償却$200,000 、将来のキャッシュフロー
    $525,000 、機械の公正価値$475,000 を想定すると、減損額として$125,000 を計上しなけれ
    ばならない計算結果となる。


    理由:将来のキャッシュフロー$525,000 はが機械の簿価の$600,000($800,000-$200,000)に達しない。よって、簿価と市場価格との差($600,000-$475,000=$125,000)が減損額となる。遊休資産―将来的に事業用に供す予定のない遊休資産で、売却を予定している資産については、簿価か推定処分価格から同処分費用を減額した額の何れか少ない額まで切り下げることになる。この場合、事業資産から売却資産に勘定表示を変更することも求められている。


    暖簾―上記事業用固定資産とほぼ同様の規則が、暖簾についても適用される。(SFAS 142)


    (3)監査への影響


    長期固定資産の評価の重要性が増すなか、Auditing Standards Board は2003 年にSAS101を発行し、公正価値(Fair Value )の監査手順を明確にした。公正価値算出に当たっては、仮定や推測といった主観的要因が働くことから、監査人はそうした条件設定について、より厳格且合理的検証並びに開示の十分性に責任を負うことになった。

    更新日: 2006年04月01日

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