会計税務情報2005 年9 月号
永野森田米国公認会計士事務所
債務免除益は課税か非課税か
借金が嵩んで返せなくなることがあります。銀行などがこの債務者の債務を免除したら、税務上でどういう扱いになるでしょうか。原則として、免除された債務は債務者の総所得を構成することになり、所得税、法人税が掛かります。では、日本の親会社が米国の子会社への貸付金や長期未払い金を免除することがありますが、その場合はどうでしょう。破産してしまった会社は、債権者に債務免除を求めるのが普通ですが、そうした場合の課税関係はどうなるでしょうか。今回は、こうした特殊な状況下における債務免除益の課税関係について考察します。
1.債務超過時等の債務免除益
以下の状況下でなされた債務免除の場合、債務者の免除益は課税の対象にはなりません。
(1)会社更生法(Chapter 11)のもとで認可された更生計画による債務免除は、その債務免除の全額が非課税になります。
(2)債務者が債務免除時に債務超過、すなわち負債総額が資産時価総額を超え、支払不能の状況下で行われた場合は、債務免除の金額のうち債務超過となっている金額迄が非課税で、それを超える部分については課税所得とされます。
上記(1)、(2)の場合、非課税とされた債務免除益の金額から繰越欠損額、投資税額控除や代替ミニマム税額控除、外国税額控除等、種々の税額控除繰越額、及び資産の税務上の簿価などは減額することになります。
2.親 子会社間の債務免除
親子会社間と言えども原則としては、債務免除は課税取引になりますが、一定の条件を充たせば非課税になる可能性もあります。親子間債務免除の基本的枠組みは以下の通りです。
(1) 買い手が売り手に資産購入に関して債務がある場合、この借入金の免除は購入価格の調整となります。従って、米国子会社が日本の親会社から製品等を購入する際生じた債務に対する債務免除については、その製品の購入価格を減額調整することができます。ただし、この場合、会社更生法の適用を受けておらず、かつ債務超過の状態ではないことが条件となります。
(2) 株主への債務を資本に組入れる場合
子会社が株主である親会社から債務免除を受ける場合、かつ株式を親会社に発行しない場合(つまり資本剰余金に組入れる場合)は、親会社の債権の税務上の簿価まで債務を返済したとみなされますので、親会社の税務上の債権簿価と債務免除しようとしている金額とが等しい限りは債務免除益は発生しないことになります。親会社が当該債権に対して、貸倒損失を計上し、税務上の債権簿価が減額している状況では、免除される債務の金額が債権の金額より大きくなりますので、その分だけ債務免除益が発生することになります。
一方、子会社が株式を発行して債務を返済する場合、債務者はその発行株式の時価をもって債務を返済したものと見做されます。従いまして、株式発行時の時価が免除される債務の金額を上回る場合はその超過分が債務免除益として課税されてしまいます。
どちらの場合も、前述の1(1)会社更生法の下で行われた場合もしくは1(2)債務超過の状態で行われた場合には、非課税取引として取扱われます。
更新日: 2005年09月01日



