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    外国税額控除(Foreign Tax Credit)-その(1)-

    会計税務情報2005 年5 月号
    永野森田米国公認会計士事務所


    外国税額控除(Foreign Tax Credit)-その(1)-


    国際間の資本、技術及び人的交流を促進する上で、それぞれの国が持つ課税権はその障害となります。そこで、日米欧各国では国内法を制定し、外国税額控除を税体系に組み込んでいます。よって、同一取引に対し、税を二重に課す、所謂、二重課税を排除することができます。更に、各国間で交わす租税条約に於いても、互恵主義の立場で工夫が凝らされています。このように外国税額控除制度は、国際間の利害を調整するという税法の分野でも最も難しい役割を担っていることを反映して、極めて煩雑な内容になっています。本稿では、その基本的概念を考察し、事例を通して、その理解を深めていきます。


    (1)二重課税が発生する原因


    二重課税発生原因は、所得税や法人税の制度そのものに内在しています。即ち、こうした税制では納税者の所在地を基準に課税する一方で、所得が得られた場所に於いても課税するからです。そこでは、次の通りの課税権の競合が生じます。


    a.居住地国課税と、源泉地課税の競合
    二重課税発生原因の殆どを占めています。日米両国共、居住者には無制限納税義務を負わせています。一方、両国共、非居住者に対しては制限納税義務を負わせています。即ち、非居住者が稼得した所得についても課税するので、この部分については、税が二度掛かることになります。
    法人についても同様で、例えば、日本法人が米国に支店を持つと、米国で納税義務が生じる一方で、本邦に於いても米国支店を含めた所得に対して、法人税が課されることになります。


    b.居住地国課税の競合
    日米両国共、居住、非居住の概念を共有するにも拘わらず、その定義は表裏一体ではありません。即ち、一方の国の基準で居住者となったからといって、他方の国では自動的に非居住者となるかといったら、そうでもありません。例えば、日本本社に籍を置く社員が米国に短期滞在の目的で単身出張したとします。予定が延びて、偶々183 日を越えてしまった場合には、米国国内法の基準では居住者となる一方、本邦においても居住者と看做されます。


    c.源泉地国課税の競合
    所得によっては、その種別が明確でない為、源泉地国がどちらか判然としない場合があります。例えば、米国で役務の提供があった場合、源泉地は米国であることは明白です。然し、これが、本邦に於いては、著作権の使用に当たると解釈されると、源泉地国は日本ということになります。


    (2)二重課税の排除方法


    上に述べた二重課税の一部は、租税条約によって回避することができます。例えば、特定の所得については、課税権を棚上げする方法で、昨年改定された新日米租税条約では、著作権使用料や配当の一部が源泉地課税を免除する措置がとられました。
    租税条約をもってしてもこの問題が解決できない場合にどうするのでしょうか。そこで登場するのが本稿のテーマである「外国税額控除」です。この制度によれば、居住国では海外で得られた所得についても課税権を実行する代わり、海外で納付した税金をあたかも居住国で納付したかのごとき扱いをします。重要なことは、この制度も二つの異なった仕組みで出来上がっていることを理解することです。


    a,外国税額の直接控除制度
    一般的な控除方式で、例えば邦人であれば、米国で自ら納めた税金又は、同人が受領する米国からの所得の一部が、源泉地課税により天引きされる場合がこれに該当します。


    b,外国税額の間接控除制度
    海外に子会社を持つ親会社が配当を受領した場合に利用することが出来る制度(IRC78 )で、子会社の払った法人税がFTC の対象になるのです。自らが直接払ったのではなく、子会社を通して間接的に払ったということを意味しています。

    更新日: 2005年05月01日

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