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    新日米租税条約(その3)

    会計税務情報2004年11月号
    永野森田米国公認会計士事務所


    新日米租税条約(その3)


    日米租税条約改正における最重要点は投資所得(配当、利子、使用料)の限度税率引き下げである旨以前報告致しました。これは日米両国間における企業レベルの国際的投資促進に焦点を当てた措置ですが、新租税条約はこうした恩恵措置が日米交易促進という本来の目的から逸脱して不正に利用されることを防止する方策を講じています。今回は、そうした条約適用対象法人に課された様々な制限条項(特典制限条項)について考察します。


    1.適格居住者と見做される法人とは
    租税条約においては基本的に、日本法人は日本居住者、米国法人は米国居住者と扱われますが、第三国居住者であっても日米れかの国に法人を設立できますし、また日米両国の居住者がお互いの国に法人を作ることも近年は頻発しています。新租税条約に盛られた特典制限条項は、この居住者の規定を企業等の内容等も重視して、厳密に制限するものです。租税条約上の特典を法人が受けるためには以下の3つの規定のいずれかを満たす必要があります。


    ①公開法人であること
    会社の株が国内の公認有価証券市場に上場され、取引されていること。
    ②公開法人の子会社であること(自らが公開法人で無い場合)
    5つ以下の公開会社(上記①により適格居住者と見なされる者のみ)に直接、間接に自社株の50%以上を保有されていること。間接所有の場合は、個々の中間所有者も適格居住者と見なされる法人であること。
    ③所有権テスト及び基礎侵食テストの両者を満たすこと


    その国の居住者である個人、政府組織、法人(上記②により適格居住者と見なされる者のみ)、NGO等が総株式の50%以上を保有している法人であること(所有権テスト)。
    課税年度総売上高の50%を超える範囲で日米以外の居住者に対し、所得算定の適用上損金算入となる形態において直接、間接に支払いをしていないこと。ただし、日米いずれかに支店を持つ第三国の銀行への利子払いや、営業の過程で生じた通常の取引は支払いに加味しない(基礎侵食テスト)。


    2.事業活動の内容から適格居住者を決める場合の規定
    上記1.で触れた規定は法人の実質上のオーナーがその国の適格居住者であることに重点を置いていますが、それらの規定をクリアーしない場合でも次の要件を満たせば適格居住者と見なされます。 ただし、この場合租税条約による恩恵が適用される範囲は、下記②の所得に限られます。


    ①法人が登記をした国(本国)において、実際に営業活動を行っていること。
    ②米国(日本法人の場合)での所得が本国での事業に関連したものであること。
    ③米国にPE(恒久的施設)や子会社を持つ場合には、本国での事業規模が米国でのそれと比べた場合、実質性を持つレベルにあること(総収入、資産価値、総給与支給額を総合的に比較して判断される)。


    3.導管契約規定   
    新租税条約下では、適格居住者である法人が投資所得を受け取っても、その法人が事実上第三者への導管として機能している場合には、税率の低減が適用されません。


    【例】A国、C国およびC国、B国の間の租税条約において利子所得が免除されている場合、B国の会社はC国を経由することにより、A国からの利息収入を条約免税扱いにできる。新租税条約はA-C国間の利子支払いを、事実上の受益者をB国会社とする導管契約として、条約特典を制限することになる。

    更新日: 2004年11月01日

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